香りの害など化学物質対策について ~一般質問より~

「区民の健康を守る」視点で対策を

洗濯洗剤や柔軟仕上げ剤、制汗剤、芳香剤などの香りの素になっている化学物質に反応し、健康被害を訴える人が増えています。
前回の一般質問で、環境、健康、教育の部門が連携して「区民の健康を守る」視点で対策することを求めたところ、「区としても相談内容に応じて各部署で連携していく」と答えました。
その後、2015年発行「消費者だより」の香害を特集した紙面が保健相談所に掲示されたのですが、タイトルが無く何のための掲示なのかわからず残念な状況です。

化学物質過敏やアレルギーなどの治療にあたる医療従事者や研究者によると、このまま対策がなれなければ、いわゆる「化学物質過敏症」患者は、現在でも増え続けている花粉症患者をはるかに上回ると予測されています。

今回の一般質問では、現在発症して苦しんでいる人への対応とともに、予防原則に基づくさらなる取り組みを求めました。
区は「化学物質過敏症について、ホームページなどの媒体を通じて周知する予定」と答えました。
1か月経過し、進捗を確認したところ、まだ、衛生の担当が情報収集等の準備を進めている段階です。

ホームページの掲載は、より多くの区民の目に触れる機会が増えることになり、私たちの提案が一歩実現したともいえます。しかし、インターネットを使える環境になければ、また、該当のページに行きつかなければ、その情報は届きません。
保健相談所をはじめとする公共施設へのポスター掲示は、区民への情報提供、注意喚起として有効です。併用していくよう引き続きはたらきかけていきます。

香りを持続させるマイクロカプセルは、海洋プラスチック汚染につながっている

香りの素となっている化学物質の配合が企業秘密として明らかにされていないことも問題です。さらに、香りを持続させるためにマイクロカプセルに化学物質を閉じ込める製造方法も新たな環境破壊の原因として指摘されています。

ダイオキシンや環境ホルモン対策に取り組むNPOによると、柔軟剤キャップ1杯に人工香料、あるいはニオイを消す消臭成分の化学物質を閉じ込めたマイクロカプセルが約1億個入っているとのことです。1回の洗濯で繊維に残るのは2割程度、8割は自然界に放出され、プラスチックの海洋汚染にもつながっています

香りのマイクロカプセルは、大気汚染問題で取り上げられるPM2.5よりもはるかに小さい1㎛(マイクロメートル)です。衣服についたマイクロカプセルは、摩擦のたびに大気中に放出され、頭痛や吐き気、呼吸困難など化学物質過敏の反応を起こす原因になっています。

香害は新しい公害

「香害」がひどくなれば、外出することもままならない、仕事も辞めざるを得ず経済的にも困窮するなど、人生が大きく狂わされるてしまうのです。これはまさしく公(おおやけ)の害「公害」といえるのではないでしょうか。

水俣病などの公害の歴史を見れば、原因究明に至るまでに長い時間を要し、甚大な犠牲を払ってきたことは明らかです。香りの害などについても、事態がこれ以上深刻になる前に国が規制すべきです。しかし、経済優先、企業優遇の国政の下で私たちの暮らしは後回しになっています。
暮らしに身近な自治体こそ、区民の健康を最優先に考え、国に表示義務や使用の規制、実態把握のための調査を求めるべきと指摘しました。
しかし区は、「製品に含まれる化学物質に起因する問題については、製造・販売事業者が責任をもって消費者に対応することが基本。現段階では、国に対して表示義務や使用の規制、実態把握のための調査を求める考えはない」と答えました。

引き続き香りの害「香害」をはじめとする化学物質対策について「区民の健康を守る」視点、特に許容量の低い子どものために予防原則に基づく対策を求めていきます。