対話を否定?練馬区議会 「沖縄県民投票の結果の尊重を求める意見書」
練馬区議会第2回定例会が閉会しました。最終日に議員提出議案を出した顛末を記しました。
強引に辺野古の新基地建設をすすめる国に対して、「練馬に住む私たちが何かできないか」という区民の要望を受けて、「沖縄県民投票の結果の尊重を求める意見書」を議員提出議案として提出しました。
提出者は、有馬豊、島田拓、のむら説、小松あゆみ、白石けい子、野沢なな、富田けんじ、岩瀬たけし、高口ようこ、きみがき圭子、土屋としひろ、かとうぎ桜子
練馬区議会では、国や都道府県その他の機関に対し、「意見書」や「要望書」を提出する際には、「全会派一致」という原則があります。そのために、非公開の「幹事長会」で意見書を持ち寄り、判断することになります。幹事長会の出席要件は5人以上の会派。現在は、自民党、公明党、共産党の3会派です。これでは、少数会派の意思を反映するのは難しい構造になっています。
今回ももちろん、共産党を通じて幹事長会に提案しましたが、合意には至りませんでした。
議員には、地方自治法第112条の規定により予算を除き議案の提出権があります。この場合、議員の定数の12分の1以上の賛成者が必要とされています。練馬区議会の定数は50名。5名以上の賛同があれば、議員提案できることになります。
幹事長会で一致しなかったことを考えると、「辺野古の工事を中止、反対」のような内容では合意を得られないので、「国と対等である地方自治体の意思を尊重し、対話による解決を図る」ことのみを求めました。23区では、昨年7月に文京区議会が「沖縄『辺野古新基地』」建設の中止を求める要望書」を議決しています。
議員提出議案の内容について、「議会運営委員会」で提案者が説明し、質疑をします。
この質問がひどかった・・・。
「県民投票は遺憾、民主主義をはき違えている」
「国防、安全保障のことを練馬区議会で議論するのはあまりにもかけ離れている」
⇒ 国防や安保を理由にすれば民意は無視され、国の言いなりでしかないのでしょうか!?
「(辺野古の新基地建設反対なら)対案を出せ」
「対話の先に何を求めるのか、はっきり示せ」
「(県民投票の)賛成票、どちらでもない票の少数者の意見はどうなるのだ」
⇒ そもそも、対話をすることで少数意見も含め合意点を探っていくのではないでしょうか!?
「沖縄だからこそ基地が必要」
「普天間基地はそのままで良いのか」
⇒ (いつできるかわからない)辺野古新基地ができるまで、普天間基地はそのままで良いと考えているのでしょうか!?
いずれ、議会運営委員会は会議録が公開されますので、ぜひご覧ください。
本会議での議決の結果、反対多数で否決されました。
賛成:共産党、立憲民主、市民の声、生活ネット、オンブズ、市民ふくし 合計16名
反対:自民党、公明党、練馬未来(国民民主と無所属)、都民ファースト、練馬区民の会 合計34名
議員提出議案第10号 沖縄県民投票の結果の尊重を求める意見書
2019年(平成31年)2月24日、政府が普天間飛行場の代替施設として沖縄県名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋め立てについて賛否を問う県民投票が行われた。
結果は、投票率52.48%、「賛成」11万4,933票、「反対」43万4,273票、「どちらでもない」5万2,682票で、「反対」が有効投票数の72.15%となった。
この反対票数は、県民投票条例において、知事が「結果を尊重」し日米両政府に「通知」する条件とした4分の1をはるかに超えており、埋め立てに反対する県民の意思は明確に示されたと言える。
国と地方公共団体の関係は、2000年(平成12年)の地方分権一括法により、対等・協力の関係となり、地方自治体の意思を政府(国)が尊重することが求められている。
国が、住民・自治体の意思を尊重し、見解を異にする場合は、対話による解決をはかるよう自治体・国の双方が努力することは、日本のどの地域においても求められるべきである。
よって、練馬区議会は、貴職に対し、地方自治の尊重を求める立場から、沖縄県民投票で示された結果を尊重し、対話による解決を図ることを求める。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
令和元年6月26日
練馬区議会議長 上野 ひろみ
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
外務大臣 あて
防衛大臣
内閣官房長官
沖縄基地負担軽減担当大臣
生活者ネット(やない克子)の賛成討論
生活者ネットワークを代表して、議員提出議案第10号「沖縄県民投票の結果の尊重を求める意見書」に賛成の立場から討論をおこないます。
今年2月の「名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票」で、有効投票数の約7割が「埋め立てに反対」の意志を示しました。
この議案は、国に対して沖縄県民の意思を尊重し、対話による解決を図ることを求める意見書を、練馬区議会として、地方自治の尊重を求める立場から提出することを求めるものです。
沖縄では、1997年に普天間基地の代替基地として名護市辺野古付近での建設が決定されて以降、約20年にも及ぶ建設反対運動が続いています。知事選挙でも、2014年、2018年と、続けて辺野古新基地建設反対の主張を掲げた知事が選出されました。そして今年2月の県民投票で、辺野古新基地はいらないという住民の意思は明確に示されました。しかし、国は強引に基地建設を進めています。
2015年、故翁長雄志知事は菅官房長官と会談した際に、「安倍総理が『日本を取り戻す』という『日本』に、沖縄は入っているんだろうかなというのが、率直な疑問だ」と発言しています。
国内の米軍施設の70%が沖縄県に集中していること、また、米兵による犯罪、米軍機墜落、騒音による健康被害、環境被害、有事の際の標的になることへの懸念等、県民がさまざまな不安、危険に晒されて生活している現実に、私たちは真摯に向き合う必要があります。
沖縄県のみなさんは、日米安保、国防を理由に基地負担を強いられ、国に民意を押さえつけられてきたといえるのではないでしょうか。
国の機関である沖縄防衛局は、2018年8月の沖縄県による辺野古沿岸部の埋め立て承認撤回への対抗措置として、国土交通省に対し行政不服審査法に基づく審査請求と執行停止を申し立て、国土交通大臣は執行停止を決定、工事は再開されました。一連の手続きは、本来国民の権利利益の救済を目的とした法律の使い方として、正当性に疑問を生ずるもので、地方自治の侵害ともいえるものです。
一般質問でも述べましたが、国と地方自治体は対等な関係です。国が地方自治を尊重する姿勢を持っているかどうかということは、日本国民、全ての地方自治体に関わる大きな問題です。
沖縄県民の意思を尊重するか、しないかは、沖縄県民の問題にとどまらず国民主権を謳う憲法で保障された私たちの暮らしに関わる問題なのです。
練馬区には二つの陸上自衛隊駐屯地があり、そのうち朝霞駐屯地には戦前の陸軍参謀本部に当たる陸上総隊司令部が置かれ、すでに軍事都市といっても過言ではありません。また、練馬上空のほとんどが横田空域であるなどの状況を考えれば、沖縄の状況は他人事ではありません。
私たちは、毎月9日に「戦争はしない 原発はいらない」というバナーを掲げ9条をまもるアピールをおこなっています。戦争も原発も人権をないがしろにするものであり、最大の環境破壊を招くものです。したがって、辺野古新基地建設はもちろんのこと、戦争に通じる軍事施設はすべてなくすべきと考えています。しかし、安全保障をめぐるさまざまな意見があることから、今回の議案は、「県民の意思を尊重し、民主主義の根幹である対話による解決を図ること」、この1点のみを求めるものです。
沖縄県民投票の結果を踏まえ、対話による解決を求める意見書の提出に賛同いただけますよう、議員の皆様の賢明なご判断をお願いし、賛成討論を終わります。
本会議は映像で配信されますので、ぜひ、ご覧ください。(残念ながら、ひどいヤジまでは拾っていません)