SOGI都条例制定に向けて

基調提案を行った、独立行政法人労働政策研究・研修機構の内藤忍(しの)副主任研究員

東京都は、オリンピック開催都市として、人権尊重の理念がより一層社会に浸透していくことを目的に「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例(仮称)」の制定を、9月議会に提案する予定です。

7月27日(金)都庁で、この条例制定についての課題を共有し、より良い条例になるよう意見交換する集会が開催されました。

この条例のポイントを示した資料が公表されています
まず、「性自認や性的指向等を理由とする差別の解消の推進と、啓発及び教育の推進」としているにもかかわらず、「LGBT等」を多用していることを指摘したいと思います。
市民への理解啓発のためにも、説明資料の段階からSOGI(ソジ・ソギ)〖SOとはセクシュアル オリエンテーション(性的指向)、GIはジェンダー アイデンティティ(性自認)〗を使用すべきです。

独立行政法人労働政策研究・研修機構の内藤忍(しの)副主任研究員からは、差別を包括的に禁じたイギリスの平等法の紹介があり 、誰もが社会で活動する上での基盤として「差別禁止」を明記すべきと基調提案がありました。現段階の表現では、「宣言する」だけになってしまうことが心配です。

「都が相談窓口を設置する」となっていますが、「LGBT等」の表現があるために、カミングアウトが前提になっているととられかねません。カミングアウトしていない当事者や当事者の家族、友人も相談できるよう、誰でも「SOGI、性的指向・性自認」に関して相談できる窓口であると周知すべきです。

リレートークでは、当事者の家族、当事者、企業の人事担当者などそれぞれの立場での問題提起がありました。
最初の職場ではカミングアウトし理解を得られたと思っていても配置転換をきっかけに状況が一転し、明らかな差別発言や無意識に発せられる心無い言葉に傷つき、体調不良に陥り退職に追い込まれる、職場での対応について複数の訴えがありました。
人事担当者は「海外からの優秀な人材を獲得するためにも(大)企業では性の多様性を考慮することは当たり前。そのための人事研修をおこなってきた。その中で知り合った当事者が、良好な環境で仕事ができていると思っていたら、最近自死してしまった。まだまだ理解が進んでいないことを痛感した」と涙をこらえながら訴えました。

誰もが差別されず、安心・安全に暮らすためにあらゆる差別を禁止する条例制定が必要であり、都議会議員にはその視点でしっかり審議することを要望しました。

集会終了後、自民党本部前に移動し、杉田水脈衆議院議員の差別発言に抗議する行動に参加。人間を「生産性」で量る考え方そのものが間違った考えだということを強く訴えたいと思います。

キレイな夕日バックに多様性を表すレインボーフラッグがはためく。

7/27の自民党本部前の抗議行動には約5000人が参加した。