練馬のブランドって? 常任委員会視察報告
企画総務委員会視察報告
10月19日 奈良市 奈良市ブランド推進の取り組みについて
奈良市は、2014年度に奈良ブランド推進課を設置し、農林畜産物のブランド化、東部地域の振興、定住の促進などの事業を通じて、市の魅力の創造と発信をおこなっています。農林畜産物のブランド化では、お茶、いちご、日本酒を重点品目にしてさまざまなPR事業をおこなっています。
お茶:フォーラムやワークショップの開催して、奈良は日本のお茶文化発祥の地であり、現在も生産量は全国7位で、日本有数の産地であることを市民や観光客に伝えることで「大和茶」を奈良が誇るブランドとして確立することを目指しています。
いちご:「古都華(ことか)」は2011年に品種登録された、奈良県農業総合センターが開発した奈良県生まれのいちごです。1月にかけて糖度15度を超えるものもあることから「日本一甘いいちご」ともいえるようです。市内の生産者は6名。販売価格は、百貨店では2,000円(生産者の対面販売では700円)するそうです。スタンプラリーやいちご狩りイベントを開催して、古都華の消費拡大と生産農家の収益拡大を目指しています。
お茶といちごは市内の小学校への出張授業で認知度の向上に取り組んでいます。ペットボトル飲料の普及で「お茶の葉」を知らない子どもが増えているということで、急須を使っておいしいお茶の淹れ方を体験し、お茶を楽しむ文化に触れる機会を作っているとのことです。
日本酒:清酒発祥の地として講演会やパネルディスカッションでPR。
奈良の特産品について、食と文化をPRするためのウェブサイトの活用や、複数のソーシャルメディアと連動し4か国語に翻訳し、情報発信しています。
また、今年度から奈良市産米のブランド化事業を開始し、市民や観光客へのPRに取り組んでいます。
練馬区は23区で最も農地が多い自治体であり、特に、区の西側は農地がが残っていて、身近なところで「朝採れ野菜」を購入できます。また、利用回数の差はありますが、区立学校の給食に地元産農産物を利用しています。野菜だけではなく、最近はブルーベリーの栽培が盛んになり、観光農園が増えています。さらに「果樹あるファーム」としてその他の果実生産にも力を入れているところです。
いずれも「ブランド化」の対象というより、暮らしの中の農業、農産物といえるのではないでしょうか。ブランド化とそのPRにお金をかけるというより、給食への利用をさらに増やしていくために流通などの仕組みの整備など、子どものころから地場産農産物に親しむ環境の整備が必要ではないでしょうか。多くの区民が地元産農産物を意識し、農地(緑地)保全への関心につながるようにはたらきかけていきます。
10月20日 神戸市 シティプロモーション事業について
神戸市は、2015年度に策定した「神戸2020ビジョン」において、「若者に選ばれるまち、誰もが活躍するまち」をテーマに掲げ、「若者の神戸市への転入を増やし、東京圏への転出超過(2500人/年)の解消」達成するためのプロモーション事業をおこなっています。
ステージ1:移住促進のためのウェブサイトの開設して移住した人の暮らしや仕事についての発信や、移住体験事業「LIVE LOVE KOBE」の実施で神戸の魅力の周知、定住を促進している。
ステージ2:東京での全国規模の移住フェアへの出展や移住セミナーの実施。
ステージ3:市内の35歳以下の若者を対象に、仲間を作る機会「BUILD YOUR KOBE! U35アクションミーティング」の実施。
人口が増え続ける練馬、東京において、「定住支援」事業をシティプロモーションとして取り組んでいる自治体の視察が有効なのか、練馬区の施策にどのように生かしていくのか疑問が残りました。
奈良市、神戸市とも費用対効果を測るのは難しいと述べており、どれだけの予算を投入するのか、自治体の姿勢が問われると感じた視察でした。