(仮称)都市のグランドデザイン有識者委員会傍聴 その2

5月29日に開催された、第2回目の(仮称)都市のグランドデザイン有識者委員会を傍聴しました。今回のメインは有識者委員の専門分野からのプレゼンテーションでした。内容は下記のとおりです。

1.久保田尚氏(埼玉大学大学院教授 専門:交通)

「30年後の練馬のグランドデザインを考える~交通~」

2.村木美貴氏(千葉大学大学院教授 専門:環境)

「低炭素型都市づくりを練馬区でいかに実践するか」

3.今井伸氏(田園調布学園大学教授 専門:社会福祉)

「助け合いの地域社会を構築するために(30年後を見据えて)」

プレゼンテーションのあと、質疑や意見交換がおこなわれました。

久保田氏は、都市計画道路の整備は基本中の基本であるとし、第4次事業化計画は着実に実施し幹線道路以外の道路では速度を確実に抑制し、歩行者や電動車いすが安心して移動できるまちづくりを示しました。また、車両の自動運転については、加速・操舵・制御のすべてを運転者がまったく関与しない、「完全自動運転車」が街なかを当たり前のように走り回ることは、30年後も無いとの考えでした。

村木氏は、CO2排出量の削減が求められている中で、イギリスでの事例を中心に国内の自治体での取り組みを示しました。イギリスでは、ひとつの行政区の取り組みを経て国のエネルギー政策が転換したということです。「生産緑地などの活用できるか」という質問に対して、「CO2削減は目標値を決め、システムや暮らし方を変えることで削減していくことが有効で、緑地活用は関連しているが分けて考える良い」と答えました。

今井氏は、30年後に介護が必要となるであろう現在の45歳から50歳代の区民がどの地域に多いのかということを地図に示し、そこに地域包括支援センター(高齢者相談センター)、子ども家庭支援センター、障害者地域生活支援センター、子ども発達支援センター、心身障害者福祉センターの設置場所を重ね合わせ、「支援する機関」の空白地域を明確にしました。厚生労働省が示す「我がこと、丸ごと」の共助の社会を創生するには、縦割りの支援機関ではなく、ワンストップ型、横断型の支援機関として再編し、支援機関が不足している地域には新設も検討することや、地域住民の意識変革・支援担当職員の数と質の確保が必要であり、それ以前にまず、「区職員の意識改革から真剣に始めることが重要だ」と話しました。

次回は、小泉秀樹氏(東京大学大学院教授 専門:コミュニティと都市計画)、瀬田史彦氏(東京大学大学院准教授 専門:国土計画)、横田樹広氏(東京都市大学准教授 専門:みどりと都市農業)のプレゼンテーションと意見交換です。

 

第3回(仮称)都市のグランドデザイン有識者委員会

2017年7月10日(月)18:30~ 練馬区役所 西庁舎9階 9-1会議室