保育所保育料値上げ議案に反対

先週末、12月9日(金)に区議会第4回定例会が閉会しました。最終日の本会議では、認可保育所保育料を改定する議案に反対の討論をおこないました。以下、討論文です。

 

生活者ネットワークを代表して、議案第130号「練馬区保育所保育料条例の一部を改正する条例」に反対陳情第2号「待機児童解消と公的保育の拡充について」の第6項および、陳情第101号「公立認可保育園の増設と保育料の値上げ中止等を求めることについて」の第2項の願意に賛成の立場で討論します。

議案第130号は認可保育所の保育料を見直し、来年度からの保育料の改定をおこなうものです。以下、反対の理由を述べます。  

まず、第1の理由は、大部分を占める中間所得層の負担が増すことです。

厚生労働省が7月に発表した2015年の国民生活基礎調査結果によると、1世帯あたりの平均年収が3年ぶりに増加したものの、その一方で生活が「苦しい」と感じる世帯は全体の60%を占め、依然として経済状況は厳しいのが現実です。特に、子育て世帯は「苦しい」と感じる割合が高く、上昇傾向にある社会保険料や住まいの確保などに加え、保育料の引き上げは更なる負担を強いることになります。

第2の理由として、保育料改定の算定のもとになる数字の根拠が明確ではないことです。たとえば、在園児の約7割が属する中間所得世帯に対するひと月の引き上げ額を3,000円以下にしたとのことですが、なぜ3,000円なのか、それが妥当なのか、わかりません。

区は、区政改革計画策定のなかで保育料見直しについて考え方を示し、2回の意見募集をおこなった、さらに、今年9月の「認可保育所保育料の見直し案」に対して区民から意見を募集し、対応策を講じたとしています。しかし、8月に具体的な金額が示されたばかりなのに、来年度からの保育料に反映させるのはあまりにも性急すぎます。区は、19年間保育所保育料を据え置いてきたため、認証保育所や私立幼稚園の利用者との間に経済的負担額の不均衡が生じたと言います。そうであるなら、階層や年齢別の保育料額や改定率など、税と受益者負担の適切な考え方や、段階的に引き上げを行うなど導入方法も含め、時間をかけて議論すべきです。

11月から始まった保育所の入園申し込みでは、すでに改定後の保育料が提示されていることは問題です。また、陳情第2号および第101号の「子育て世帯の生活を圧迫する保育料の値上げはしないでほしい」というのは当事者の切実な声です。区は、保護者に対して開かれた場での丁寧な説明と疑問や不安の解消に努めるべきです。

多様なニーズに応えると言いながら、1歳児1年保育や0・1・2歳児のみの保育などは、待機児ゼロという数字に捉われた場当たり的な施策であり、切れ目のない保育にはなりえません。子どもが安全にのびのびと育つ保育環境が必要です。

区は、保育料見直しによる増収分約3億円は、待機児ゼロ作戦に要する経費や保育士の処遇改善などに活用していくとしていますが、必要な支援は国や東京都、練馬区が行政の責任として負担すべきです。

以上で討論を終わります。