「買う大人」がいるということ ~私たちは「買われた」展~
「JKビジネス」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?「JK(ジェイケイ)」とは女子高生のこと。女子高生をブランド化し、少女たちが商品化され性暴力にさらされている実態があります。
「難民高校生」「女子高生の裏社会」の著者、仁藤夢乃さんが代表を務める“女子高生サポートセンターColabo”は、困難を抱える少女が暴力を受けたり、搾取労働に行き着かなくてよい社会を目指して活動しています。夜間巡回をして家に帰らず(帰れず)にいる少女たちに声をかけたり、病院や児童相談所等へ少女たちに同行して支援するなどさまざまな活動に取り組んでいます。
仁藤さん自身、家庭に居づらさを感じ繁華街を徘徊する生活をしていました。なぜ、自分の家なのに「居づらさ」を感じるのでしょうか。学校でのいじめ、兄弟との比較、過度の期待や両親からの暴力、親自身が薬物中毒だったり、きっかけや原因は単純ではありません。寂しさを感じた少女たちが、言葉巧みに声をかけてきた大人を「やさしくて親切なひと」とついていってしまったばかりに、性産業に巻き込まれ、搾取され、さらに傷ついている現実があることを知ってほしいと思います。
Colaboの活動のひとつに、中高生を中心とした少女たちによるサポートグループ「Tsubomi」の活動があります。「Tsubomi」は当事者同士のゆるやかなつながりを通して支えあい、相談者のサポートや当事者としての発信活動などをしています。 彼女たちが、児童買春の実態を伝えるために8月11日~21日に開催した、「私たちは『買われた』展」に行ってきました。
『買われた』経験をもつ少女たちが語ったことがギャラリーの壁一面を埋める。その誰もが、『買われる』までにたくさんのSOSを発信しているのに、結果的にキャッチしたのは『買う』男性だったということ。また、保護された施設でも職員による性暴力を受けてさらにきずつけられているという事実も衝撃でした。しかし、世間では「遊ぶお金欲しさのため」「快楽のため」などと考えている人が大半ではないかと思います。そして、買春してしまった少女たちが責められ、被害者である少女たち自身も自分を責めているのです。
「大人に言われた嫌な言葉」の展示は直視するのもつらかったです。「産まなきゃよかった」「俺の子じゃない」「殺すぞ」「死ね」「帰ってくるな」「出てけ」「汚い」「めんどうくさい」・・・・・・。
入場から約2時間弱、あまりにもつらく、ひどすぎて涙も言葉も出ませんでした。来場者の多くが同じ状況だったと思います。
少女たち自身が作成したアンケートには「あなたには何ができますか」という設問がありました。まずは、子どもたちのSOSに気づける大人でありたい。また、この実態を知って共に考える大人を増やすことに努めていきたいと思います。さらに、本来救済、保護すべき公的機関の人的配置などのあり方の改善も求めていきたいと思います。そして、何よりも人権意識に欠ける『買う大人』とそれを容認する風潮を許さない社会にしていかなければなりません。