羽田空港新ルート案、自治体が了承?~羽田増便問題について~

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、羽田空港の国際線発着回数を増やすことを目的とした「羽田空港機能強化」ついて、生活者ネットワークは、都心上空の着陸態勢の飛行ルートは落下物や騒音などの問題があると指摘してきました。

国は昨年夏以降、関係自治体で住民向けの説明会を開催してきました。練馬区内にも飛行ルートが発生するため、2度にわたりオープンハウス形式の説明会が開催されました。1度目(2015.8.28~30)が313名、2度目(2016.1.17~19)が320名の参加だった結果を見ても、情報が周知されているとはいえません。参加された区民からは、「マンションの真上の飛行機ルートについて納得のいく説明を受けていない」と相談が来ています。区の考えを聞いたところ、「これまでの2回のオープンハウス形式の説明会だけでは区民に十分周知されているとはいえない。関係自治体として納得しているものではない。教室型の説明会を強く要望している」とのことでした。

ところが、7月28日に「首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」が開催され、「東京都など地元側は新ルート設定を了承した」、と報道されたのです。この報道について区に問い合わせたところ、「協議会には区は出席していないし、了承した事実はない」と答えました。一方、国交省の担当者は、「協議会では『2020年に向けた羽田空港の機能強化方策について』ご理解をいただいたと考えている。記事については、各社の判断で報道したものだ」と答えています。協議会の構成メンバーのうち、都の関係者は副知事と23区区長会の会長ですが、住民と向き合う関係自治体の担当者(練馬区では環境課)との考えに温度差があるように感じました。このような協議会での説明で「地元が了承」と報道するのはあまりにも乱暴だと思います。

これまで何度か国交省からのヒアリングしていますが、国の考える「安全性」は機体の安全対策を図ることで対処していくとしか考えていないことがわかりました。私たちは、安全性確保のためには都心上空の飛行ルート案を見直すこと以外はないと考えています。7月30日に豊島区で開催された「羽田空港増便計画!学習会」には、報道直後ということもあり、会場からあふれるほど多数の参加がありました。報道を機に集まった住民の関心をさらに広げ、経済優先で安全性を軽んじる新ルート案の見直しを求めていきます。

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7/30に開催された「としまの空を考える会」主催の学習会には約140名が参加した