いらんじゃろう!上関原発2016~人も自然もいきものも~
〈いらんじゃろう上関原発2016~人も自然もいきものも~〉
日時:2016年5月14日(土)13:30~16:00 終了後パレード
場所:東京ウィメンズプラザ
「今度は、真夏じゃない季節にパレードしたい!」から準備を始めた2016年のイベント。祝島から清水敏保さん、元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんをゲストに迎え、5月のさわやかな季節に開催できました。会場を埋めるほどたくさんの方に参加していただき、終了後は、世界でもっともおしゃれな街、青山から表参道、原宿へとパレードしました。
「上関原発計画の現状と祝島のこれから」
「祝島からから見ると、朝日が昇る方向に原発の予定地があり、建設されれば毎朝原発を拝むことになる」清水さんの冒頭の言葉です。
1982年から30年以上続く上関原発建設計画は、福島第一原発事故後5年以上工事が中断しています。原発推進派が多数を占める上関町でも、原発に頼らないまちづくりの取り組みが始まろうとしていましたが、政権が変わると再び原発建設を期待する声が上がり始めました。2012年10月に失効する予定だった原発予定地海域の「埋立免許」は、失効直前に中国電力が3年間の延長を申請。不許可にせず、国の動向を見ながら判断を先送りしている山口県の姿勢は、県民よりも国や電力会社の意向を重視しているとしか思えません。
中国電力は、清水さん他3名に対して「工事を邪魔した」ことを理由に、4800万円の損害賠償請求の裁判を起こしました。ところが、突然裁判所より和解を提案されたとのこと。裁判所に全国からたくさんの人が傍聴に来ているので、いい加減な判決は出せないと裁判所も慎重に構えているのが感じられるそうです。
祝島島民の会の反対運動は、人口減少と高齢化により参加者が減少していますが、毎週月曜日に実施している島内デモは、1200回を超えました。上関原発建設計画は、福島第一原発事故を契機に、上関だけの問題ではないという意識が高まり、反対運動は全県、全国に広がっています。
「原子力発電は 電気が足りなくなっても やってはいけない」小出裕章さん(元 京都大学原子炉実験所助教)
・原子力発電と火力発電は湯沸し装置
蒸気でタービンを回し、発電するしくみは、蒸気機関と同じ要領で、非常に単純で250年前に発明された古めかしい技術です。燃やす燃料が何か、ということ。
100万kW(上関原発約130万kW規模)の原子力発電所1基が1年運転するために必要なウランの重量は1t。広島原爆で燃えたウランの重量は800gだったことを考えると、たかが、発電のために、大量の燃料を必要とし、大量に「死の灰」と呼ばれる放射性物質が生み出し、蓄積し続けている事実を改めて認識しました。
・福島原発事故は進行中
熔け落ちた炉心がどこに、どんな状態であるのわからない。すでに大量に放出された放射性物質によって汚染された環境。果てしない放射能封じ込め作業のために劣悪な条件で放射能と闘っている労働者。故郷を奪われ生活が一変し、さらに放射能と隣り合わせの暮らしを強いられる住民。など敷地内外で苦悶が続いています。
今、福島では、復興が最優先とされ、汚染があることを口にすると復興のじゃまだと非難される状況です。被害者同士が分断され、福島原発事故を引き起こした加害者である政府や東京電力は処罰もされず、無傷のまま、さらに原子力政策をすすめようとしています。
・事故がなくても悲惨な原子力
原子力を利用すれば、ウラン鉱山から始まってさまざまな放射能のゴミを生みます。そのゴミは100万年にわたって隔離処分されなければなりません。明治維新から148年、アメリカ合衆国建国から240年、邪馬台国(卑弥呼)から約1800年。150年前の人が今の日本人の暮らしを誰が想像できたでしょうか。日本で原子力発電が始まって50年間に溜まった高レベル放射性廃棄物の隔離処分に求められる、100万年という時間の長さを突き付けられました。
・「原子力」は「差別」の問題
小出さんが原子力に反対する根本的な理由は、単に危険だからではありません。原子力は徹頭徹尾、無責任で、他者に犠牲を強いるもの。平常運転時でも、下請け・孫請け労働者が被爆させられ、原子力関連施設は過疎地に押し付けられています。また、放射性物質を無毒化する手段を持っていないので、選択権のない未来の人々に毒物を押し付けることになり、それは「未来犯罪」と呼ぶべきだと。さらに、原子力を選択する限り、核兵器と縁が切れなくなると。
「原子力が抱える真の問題は、差別や平和に関わっている。祝島で粘り強く闘っている人々と都会に住んでいる私たちが、どこまで連帯できるか。絶対に上関原発を建てさせないことが大切です」と結ばれました。