“子どもにやさしいまちづくり”も地域主体で
自治体関係者と研究者、NPO団体等が連携・協力して、2002年から毎年開催されている「『地方自治と子ども施策』シンポジウム」に参加。10月10・11日と西東京市で子どもの施策のあり方や創意工夫している自治体の取り組みを学んできました。
今年のテーマは「連携と協働による子ども支援・子育て支援 -子どもにやさしいまちづくり-」。議員になる前にも参加していましたが、この1年半の議員経験によって、このシンポジウムの意義をより深く理解できたと感じます。全体会と参加した第7分科会「子ども支援・子育て支援と連携・協働」を通して「都市内分権」をキーワードにした、ふたつの自治体の取り組みを紹介します。
三重県名張市は、2003年に地区公民館等を単位とする15の住民主体のまちづくり組織「地域まちづくり組織」をつくりました。地域ごとに「まちの保健室」を開設し、子どもから高齢者まで保健福祉に関する地域の身近な相談を受け、安心して暮らし続けられるよう健やかなまちづくりに取り組んでいます。その中の、子育て支援のしくみ「名張版ネウボラ」で妊娠から出産・育児までの継続的な伴走型の支援をおこなっています。「自治会や町会といった既存の組織を再編することは大英断だった」と名張市長は話していましたが、それまで「資源ごみ集団回収」「青少年育成団体活動」などさまざまな地域向け補助金を廃止し、一括交付金を活用して「使途自由なまちづくり活動費」=「ゆめづくり地域交付金」を交付して住民主体のまちづくり活動を支援することで、住民自治の熟度が高まり、コミュニティが再生され地域の強化につながったということです。
福井県越前市は、三世代同居率が高く、子どもたちにとって祖父母は身近な存在です。さらに、町内会加入率ほぼ100%、子ども会加入率80%と、地域のつながりが強い街です。そのつながりを活かして、小学校区を単位とした自治振興会を組織し、地域住民自ら地域の課題を解決し、きめ細やかなまちづくりの推進に取り組んでいます。越前市は半導体や自動車部品のなどの製造が盛んで、多くの日系ブラジル人が派遣社員として働いていますが、外国籍の子どもも「子ども会」をきっかけに地域の中で見守られて育っているということです。地域で誰かに気にかけてもらっている、見守られているという安心感は、子どもの成長に良い影響を与えていることと思います。
名張市と越前市は、いずれも地域力を土台に、地域住民が主体的に地域の課題解決に取り組む「都市内分権」が進められています。さらに、どちらの市も「子ども条例」を制定し、条例における子どもの大切な権利 -生きる 育まれる 守られる 参加する-に基づいて子どもに関するすべての施策を展開しています。
行政と地域住民との信頼関係がなければ「都市内分権」は成立しません。情報公開や住民自ら地域課題を解決するための支援を区に求めていきます。さらに、子どもを「今を生きる主体」「社会を構成する一員」として受け止め、「子どもが育ちやすいまちづくり」のためには、地域に住むおとなが「子どもの権利」を理解することが必要です。「子どもの権利条例」の制定にも力を尽くしたいと思います。