若者が、希望を持てる社会へ

若者の働き方アンケート」の結果から、労働教育の充実、相談機能の充実、ディーセント・ワーク(働き甲斐のある人間らしい仕事)の実現などの課題が明らかになりました。

 朝、駅で新しいスーツの若者を見かけると、社会人として新しい生活をスタートさせたのかなと感じます。彼らが、やりがい、生きがいを持って働けるよう願わずにはいられません。働く人の約4割が非正規雇用という実態、正社員あるいは正社員並みにフルタイムで働いても、ギリギリの生活さえ維持が困難である「ワーキングプア」の問題など、特に若者をめぐる就労環境は依然として厳しく深刻です。

 さらに、経済効率最優先の経済システムの中で、ブラック企業・ブラックバイトとよばれる企業や働き方がが、若者を使い捨てにし、社会問題化しています。

 労働者の権利についてよく知らないために、職場での待遇に疑問を感じたとしても、違法状態かどうかを判断できない。さらにはどこに相談すれば良いかもわからないという状況です。相談先として、ハローワークをはじめとする公的な機関がほとんど利用されず、機能していないことは問題です。その結果、泣き寝入りし、肉体的・精神的に追いつめられ、離職せざるを得ないことさえあります。

 教育の現場では、社会的・職業的自立に向けたキャリア教育が導入され、職場体験やインターンシップなどに取り組んでいます。しかし、このような一般的なキャリア教育施策では現状の問題は解決できません。学齢期から「自分の権利」や周囲に助けを求める方法を知り、問題解決できる力の育成が必要です。違法状態に直面した時に実践的・効果的な対処方法を習得できるように、年齢に応じた「労働法教育」などを実践していくように働きかけていきます。

 また、離職してしまったとしても、やり直しのできる社会・地域の実現のための支援のしくみが必要です。2015年度から始まっている、生活困窮者自立支援事業については、相談者の問題解決を図るため、ケースワーカーの体制を拡充し、ひとりひとりに寄り添った支援をするよう働きかけていきます。また、受け入れ事業者を増やすためには、事業型NPOやワーカーズ・コレクティブと連携を取りながら、地域に必要な仕事をつくり、多様な働く場を増やしていきます。若者が希望を持って、生き生きと働き、暮らし続けられるまちづくりに取り組みます。