ガールズ支援  ~めぐカフェ視察~

 
 
 学校や職場でのつまずきから働くことができず、自宅にひきこもりがちになった若い単身女性を支援する「ガールズ講座」と就労体験施設「めぐカフェ」。主催・運営は横浜市男女共同参画推進協会が担っています。
 

 女性特有の課題 ~婦人科系の病気や月経周期に関わる不調、母娘問題、結婚・出産圧力、家庭内性別役割、非正規雇用など~は、そのまま若年女性の「生きづらさ」「働きづらさ」にもつながっています。2007年当時、「よこはま若者サポートステーション」の女性の利用率は約3割。男性は家族や周囲から就労への(良くも悪くも)積極的な働きかけがあるが、女性は家にいることを強くとがめられないため、支援につながりにくい状況だった、と説明を受けました。さらに、無職でも「家事手伝い」と見なされ、労働力調査の「無業者」からも除外されているのです。

 女性だけの安心できる環境の中で、同じ悩みを持つ仲間に出会え、ステップをゆっくり進むことで自分に自信を持てるようになっていく、女性に特化することの意義は大きいと感じました。就労体験の場として設けられている「めぐカフェ」では、ガールズ講座の受講生や若者サポートステーションから紹介を受けた人が接客、調理などを行っています。しかし、その主たる目的は職能訓練ではなく、「体調を管理する」「時間を守る」「挨拶をする」「客とコミュニケーションする」など社会に参加するために必要な能力を獲得することにあります。

 受講者と就労体験実習生を対象にした追跡調査からは、「同じ立場の人と知り合い、話すことが励みになった」「自分だけの問題ではないと思えるようになった」と前向きな声があがっている一方で、3割近くが引きこもり状態に戻っていることがわかりました。同協会では、講座への参加や就労体験での人間関係、利用できそうな公的制度などを組み合わせて困難な状況を乗り切っていく「パッチワーク・サバイバル」を提唱しています。地域にある市民活動や商店の力と、「雇用・労働」「福祉」「文化活動」といった縦割りになっている行政の施策をつなぎ、これからのセーフティネットとして地域力を創り出していくネットワーク型の支援を模索しています。

視察当日のガールズ講座は、「めぐカフェ」の壁を飾る「おもてなし」用のポスターを作成。