100年後にも通用するビジョンを
区議会第2回定例会が終了しました。この定例会中に、副区長の定数を一人から二人に変更する議案と、区長のブレーンとなる「参与」の職を新設する議案が可決されました。新しい区長になり2か月、本会議の最終日に区長は「これからが本番だ。新しい体制のもと、練馬区の新たなビジョンを示していく」と発言しました。今年度は、2009年度に策定された長期計画の最終年度に当たり、今年度中に新しい長期計画を策定することになります。
哲学者の内山節氏が、群馬県の「新総合計画」の策定に関わったことについて書かれた新聞記事を読みました。どうしても地域の問題として捉えられがちな道路問題を、どのようにして大勢の方の共感を得て、活動を広げていけばよいか、と考えていた私にとって、とても納得のいく文章だったのでここに紹介します。
『各地の「計画」を読んだが、交通網の整備や子どもの生きる力を育む、弱者にやさしいまちづくりなど同じような内容である。「5年計画」だと当面の課題を列挙することになり、どこも同じようになる理由になることに気付いた。群馬の「新総合計画」を100年計画にした。100年後にどんな交通手段が用いられているかわからないから、高速道路をつくるといっても意味がない。社会の姿が分からない以上、「つくる計画」は立てようもない。100年後に誰もが困らない群馬をつくるにはどうすればよいかのか、を考え方の柱に据えたことで、「つくる計画」より「残す計画」が重要になった。どんな社会になっても、自然は残しておかないといけない、コミュニティーや本物の地域自治は残しておかないといけない。何よりも、様々な課題に対して考え続ける風土を残さなければいけない。どんな時間幅で考えるかで、見える世界が変わる。今の政治や経済は、目先の利益ばかりを追いかけている。これからの社会に対する理念がなくなっている。長い時間幅で考えなければ理念は生まれず、それは劣化した社会の姿である。(2014年6月22日 東京新聞より 抜粋)』
新区長には、ぜひ100年後を見据えて練馬のビジョンを描いてほしいと思います。2010年に示した、「みどり30推進計画」は30年後の緑被率を30%にするというもの。しかし、区内のみどりは減り続ける一方です。さらに、都市計画道路のために自然のみどりをなくし、街路樹などで代替するという本末転倒のまちづくりを進めようとしています。新区長に変わり、新体制になった今こそ、市民の平和な暮らしが持続する長期計画の策定を求めていきます。