「介護の社会化」を後退させない

 日本は超高齢化社会で、団塊の世代が75歳以上になる2025年には、「後期高齢者2千万人社会」を迎えることになります。練馬区の高齢者人口比率は、2014年3月現在21%。ひとり暮らしや高齢者だけの世帯が増えています。

 「介護の社会化」をうたい2000年にスタートした介護保険制度は、給付費が膨れ、自己負担も含めた総費用は当初予算ベースで、2013年度9兆4千億円から2025年度には2.2倍の21兆円に増える見込みです。介護保険制度は5年ごとに見直されることになっており、介護保険サービスを抑制する方向で制度の改定が行われてきました。次回、2015年度の制度改定には、介護が必要と認定された人のうち、症状の軽い「要支援者」約150万人を対象とするサービスの一部を市区町村が運営する事業に移行していくことが盛り込まれています。また「ボランティアを活用する」とされています。サービスの質や量の低下や地域格差が懸念され、危惧しています。また、自己負担が増える可能性もあり、サービスを受けることを控え、重度化が加速することになり、かえって給付の増大につながるのではないでしょうか。

 生活者ネットワークは、介護予防事業を実践してきたNPO法人アビリティクラブたすけあいから提案された「介護保険制度の保険給付から要支援1・2を外さないことを求める署名」の活動に参加しました。また、練馬区に対して、介護保険の対象が変更になっても支援が途切れないように区独自の取り組みをすすめること、「ボランティア」には適切な研修を充実させることなど、介護保険制度の改定を見据えた高齢者支援を要望していきます。高齢になっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために、介護の社会化を後退させてはいけません。