新都知事誕生に、改めて決意すること

 投票率46.14%、210万 票あまりの得票数で舛添氏の当選が決まった。東京都の有権者は1070万人といわれているので、得票数は全体の20%にも満たないのだ。それでも、これから4年間、彼が都政のトップに立つ。

 投票率46.14%は過去3番目の低水準。投票率の低さの大きな要因は45年振りの記録的な大雪が影響していることは間違いないだろう。メディアでの都知事選の扱い方(争点をぼかす、ソチ五輪など)が偏向していたという意見も聞かれる。しかし、何よりも50%以上の有権者が棄権したその事実を真摯に受け止めなければなるまい。都民の意識を選挙へ、投票行動へと結び付けられなかったことは、政治団体に所属する一員として責任を問われても仕方ないと考える。「なぜ、選挙に行こうと思わないのか(思えないのか)」、今まで以上に今後、向き合っていかなければならない大きな課題である。

 エネルギー大量消費地の住民として、“原発0”を掲げて活動してきた市民として、何としてでも“脱原発都知事”を誕生させたかった。「脱原発票を二分する」と言われ、一本化など叫ばれ、脱原発を切に願う都民は最後まで複雑な心境でそれぞれの応援をした。しかし、宇都宮氏、細川氏の得票数を合わせても舛添氏には届かなかった。“脱原発”を巧みに争点から外されてしまった影響は大きい。多くの都民にとって、遠く離れた原発のことよりも、目の前の景気対策・福祉施策を選択させられた結果になったのではないかと思う。しかし、今回の“脱原発”を意識した票は、前回の約2倍になっているといっていいだろう。しかも、舛添氏は「自然エネルギーの割合を増やし、原発の依存度を減らす」と公言した。都民は決して安倍政権の原発推進政策を容認したわけではないのだ。新都知事の就任を機に原発推進を加速させてはならない。反原発・脱原発依存の粘り強い活動を、また今日から始めよう。

 舛添氏は「世界に誇れるオリンピックにする」と発言した。すでに、競技場の建設などで住環境や自然環境への影響を懸念する声が上がっている。たとえば、カヌー競技場予定地の葛西沖は、ラムサール条約の国際基準をはるかに超える貴重種の水鳥の住処である。この世界にも類を見ない貴重な自然環境を破壊することなく、環境保全とスポーツの祭典を両立させてこそ世界に誇れるのではないだろうか。舛添氏にはぜひ尽力してほしいものである。

 17日間の選挙戦が終わった。しかし、投票日が過ぎれば終わりではない。有権者の責任はここから始まるのだ。彼に投票した有権者も「お任せ」ではなく、都民のための都政を行っているか監視してほしい。ましてや、他の候補に投票した多くの都民は我々の意見を届けるために声を上げていかなければならない。多数派の意思を尊重する一方で、個人および少数派集団の基本的な権利を熱心に擁護するのが真の民主主義なのだから。