都心低空新ルート計画の白紙撤回を国交相に要請

「羽田空港機能強化」と称して、世界でも稀に見る住宅密集地の上空に着陸態勢の超低空飛行ルートを新設する計画。

あれよあれよという間に、「来年3月29日から都心低空飛行ルートの運用を始める」と石井国土交通大臣が8月8日に表明しました。

落下物事故、騒音などを懸念する住民の声を無視して計画ありきで進められている状況を容認することはできません。
8月9日(金)、生活者ネットワーク 羽田問題プロジェクトメンバーとして、国土交通大臣あてに計画の白紙撤回と合理的代替案の再掲示を求める要請をおこないました。

右から、大河原まさこ衆議院議員、
国交省航空局首都圏空港課長、
品川、江戸川、中野、杉並、豊島の生活者ネットワークの仲間

2019年8月9日

国土交通大臣
石井 啓一 様

東京・生活者ネットワーク
代表委員 西崎光子 大西由紀子 水谷 泉

 

住民の生命と暮らしを脅かす、羽田空港機能強化に伴う都心低空新ルート計画の

白紙撤回と合理的代替案の再提示を求める要請

 

国が来年3月29日の夏ダイヤからの導入を目している、羽田新飛行ルート計画の政策決定が、8月8日 国土交通大臣によって発表された。

しかしながら、とくに南風時に都心上空を低空飛行する着陸ルートは、従来の関係自治体、議会、住民らが、騒音と落下物の回避策としてすでに合意している「海から入って海から出る」約束を一方的に反古にするものであり、そもそもあってはならない計画である。また、板橋、練馬、豊島、中野、新宿、渋谷、目黒、港、品川等の上空を飛行するこのルートは、最も事故発生率が高いとされる「着陸前8分間」に該当し、ルート直下には、乗降客日本一を記録する新宿駅がある。北風時の離陸ルートにおいても、江東、江戸川等上空を飛行ルートとしており、早朝、夜運航を含めさらに住民の生活を脅かすものとなっている。

これまで国土交通省(以下:国交省)が各地で開催してきた説明会では、住民の騒音、落下物、墜落等重大事故への懸念、不安は一切解消されておらず、政策決定の前提であった「住民の理解」が得られたとは言えない。そればかりか、自治体の意思決定の場である品川、渋谷の両議会で採択された、新ルート計画は「容認しない」「見直しを求める」決議への国の対応は皆無である。また7月30日、8月7日に実施された国交省、東京都、関係自治体等による連絡会及び協議会で示された騒音(軽減)対策を具体化するためには、スタビライズド・アプローチの大原則(着陸時降下角:原則3度)を破壊する、降下角3.5度を採用する必要があり、この変更がいかに無謀で危険かは世界に類例がないこと、ゴー・アラウンドを多発させる愚策でしかなく騒音はいや増す事態が予測されることからも明らかである。

このような状況での新ルート計画の強引な実施は、憲法25条の生存権をも脅かすものであり、ゆえに、東京・生活者ネットワークは、現段階での、羽田空港機能強化に伴う都心低空新ルート計画の政策決定に断固抗議するとともに、改めて世界に屈指の人口密集地東京を貫く新ルート計画は白紙撤回とし、合理的代替案の再提示こそを求めるものである。

以上

安全軽視の計画の見直しを求める練馬区民の声や、現在でも自衛隊や米軍の航空機が超低空飛行している現状を伝え、今後さらに住民の暮らしに不安を与える計画の見直しを求めた。(右から2人目がやない)
対応した首都圏空港課長は、これまで説明会等で示してきた「言い訳」を繰り返すばかりだった。