地域包括ケア施策について 特別委員会視察報告
医療・高齢者等特別委員会視察報告
11月9日 塩竈市 塩竈市立病院について
塩竈市立病院は、宮城県の※第二次医療圏域の仙台医療圏域の中の塩竈地区2市3町(塩竈市、多賀城市、七ヶ浜町、松島町、利府町)圏域で唯一の公立病院です。
※<医療圏とは>■一次医療圏(生活に密着。一般的な病気や怪我などに対応して住民の日常生活に密着した医療を提供する区域。一般的には市区町村の単位で設定。)■二次医療圏(入院などに対応。入院治療を主体とした一般の医療に対応した区域。各都道府県をいくつかに分けている。)■三次医療圏(高度専門医療に対応。一次または二次の医療圏で対応できない、専門性の高い特殊な医療などを提供。原則として都道府県全域がひとつの単位。)
同病院では、2017年1月「病院新改革プラン」を策定。県の地域医療構想を踏まえ、「急性期病棟の維持と救急患者の積極的な受け入れの継続」「地域包括ケア病棟の運用による在宅復帰支援」「療養病棟による慢性期医療の提供」「在宅医療の充実」の4項目を明確化、今後の役割として、仙台市内の高度急性期病院との連携を図り、地域における受け皿を担うこととしました。
塩竈市の現在の高齢化率は32%。同病院は、今後の人口構造の見通しを踏まえて、2015年に一般病棟42床を※地域包括ケア病棟に転換し、急性期からの受け入れや、在宅・生活復帰支援等をおこない、急性期から回復期、慢性期まで対応できる環境を整備しました。※「地域包括ケア病棟」とは、急性期治療を経過し、病状が安定した患者に対して、在宅や介護施設への復帰支援に向けた医療や支援を行う病棟。急性期後医療と在宅医療との間の橋渡し機能を有する。在宅在宅や施設などで療養中の高齢者が具合が悪くなったときに緊急に受け入れる。
団塊の世代が75歳以上を迎える2025年に向けて、地域包括ケアシステムの構築が推進される中、地域における在宅医療の必要性が高まっています。しかし、地域の開業医による在宅医療、特に夜間の訪問診療が厳しい状況であることから、訪問診療・訪問看護では365日24時間緊急対応できる体制を整備しています。また、訪問リハビリテーションなど在宅医療を積極的に実施しているほか、介護保険認定者を対象とした短期入所療養介護もおこなっています。
小学校6年生を対象に「命の授業」の実施や中学生の職業体験の受け入れ、塩竈市看護専門学校と連携した人材育成なども「公立病院の役割」として取り組んでいます。
11月10日 仙台市 介護予防自主グループ支援事業について
仙台市では、2002年度からの東北大学との介護予防モデル事業についての共同研究を実施したことで、定期的な運動の効果や社会的なサポートの有無が高齢者の心身に与える影響が明らかになりました。そこで、2004年から地域で運動を中心とした健康づくりを支える住民を育成できないか、社会的に孤立している高齢者を早期に発見し、必要な医療につなげながら健康問題や孤立防止の支援をできないかという課題への取り組みとして、介護予防自主グループの育成・活動支援をモデル地区で開始し、2006年からはモデル事業をもとに「介護予防・地域包括ケア構築事業」を全市展開しました。
介護予防自主グループは、地域集会所や市民センターなどを会場として、地域住民のボランティアである介護予防運動サポーターの企画・運営により、地域において主体的・継続的に運動等の介護予防活動を1か月に1回以上、1回30分以上取り組んでいます。参加者の募集はサポーターが中心となって町内会の回覧板、地域包括支援センターの紹介や広報でおこなっています。
活動実績(2016年度平均)
活動頻度:1か月に2回、サポーター数:1グループ6名、参加者:1グループ25名
2006年開始当初32団体サポーター151名だった活動が、10年間で192団体1151名に増加しました。市は、活動の継続・向上を図るため、年2回のサポーターのスキルアップ研修のほか、2017年度からは1年目のサポーターを対象とした研修も実施しています。さらに、今後のサポーターの担い手の人材の育成を継続的に支援してます。また、長期間活動しているグループへの表彰も実施しているとのことです。
一方、サポーターの偏在化、高齢化で必要とする地域にグループが育成されないなどの課題もあり、2015年度から、サポーターの担い手がいない地域でのグループの育成や支援を目指して、シニア世代向け健康づくり講座モデル事業を開始しました。今年度から市内全域での自主的・継続的な介護予防活動を支援を本格実施しています。各団体の活動内容の把握は市内に50か所ある地域包括支援センターでおこなっています。
仙台市の人口は約108万人、市域面積は約786㎢で50か所の地域包括支援センターがあります。練馬区は、人口は約72万8千人、区域面積は約48.08㎢で地域包括支援センター(2018年度、高齢者相談センターから名称変更)は25か所です。
現在策定中の第7期練馬区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画(素案)では、「街かどケアカフェ」の拡大や「はつらつシニアクラブ」の充実、練馬区オリジナルロコモ体操「ねりま ゆる×らく体操」の普及啓発などが介護予防事業として掲げられています。
1月19日まで区民意見を募集しています。区内4か所で説明会も開催されますので、ぜひ、意見や要望を出してください。