空の一方的な支配を許してはならない~羽田空港増便問題~
2020東京オリンピック・パラリンピックに向けて、羽田空港の国際線を増便するために都心上空に着陸態勢の新しい飛行ルートをつくる、羽田空港の機能強化についての「第4フェーズの説明会」が11月1日の大田区の会場を皮切りに始まります。
9月下旬には、立て続けに航空機からの落下物事故が起こりました。運よく、けが人はなかったとの報道にほっとした人も多かったのではないでしょうか。機能強化に向けた落下物対策について、これまで国交省は、機体の整備・点検の厳格な監督・指導、国の職員の抜き打ちチェックの実施、航空機メーカー・航空会社との情報共有の強化など、「これまで以上に強化し、安全対策に万全を尽くす」と言ってきました。国交省が、計画を発表したのが2014年7月。この3年間、どのような安全対策に取り組んできたのか、疑問と同時に不信感が増すばかりです。
また、私たちは、当初から参加者が一度に同じ説明を聞き、問題を共有しやすい「教室型・集会型」の説明会を要望してきました。ところが、3年経過した現在、いまだにオープンハウス形式の説明会の開催のみです。練馬区に対しても、飛行ルート直下の自治体からも国に要望するように求めてきましたが、「練馬区からも要望しているのだが」とのことで進展が見られません。こうしたことからも国交省の対応は不誠実と感じます。
天文・宇宙物理学者の池内了(さとる)さんを講師に迎えた「都心低空飛行ルートの白紙撤回を求める講演会」が、10月9日に開催されました。会場の品川区大井町付近は、新ルートでは高度305メートル、騒音80デシベルとなることが予想されています。連休最終日の夜の開催でしたが、約350名の参加者で会場は満席。生活環境の悪化を身近に感じられる地域だけに、非常に関心が高いことを改めて感じました。品川区に至るまでには練馬区の上空も飛行するわけですから、危険回避のために住民が連携して計画の見直しを求めていくことが必要であり、練馬区民にも関心を寄せてほしいと思います。
練馬区内の説明会は
2018年1月13日(土)11:00~16:00 光が丘IMA1階光の広場
池内了さんの講演より
「空の一方的な支配を許してはならない!-宇宙開発・日米安保・オリンピックー」
「空(宇宙)の占領に関わる3つの構造的暴力」
①国家が「安全保障に資する」として、平和目的で始まった宇宙開発を軍事化している問題
宇宙開発の2割は、「はやぶさ2」「あかつき」など人々の夢と憧れを誘い、信用させる=広告塔の役割。8割は実用衛星(気象、通信地球観測等)と内閣府・総務省・防衛省が連携強化する軍事協力。
②日米同盟の地位協定による横田空域の問題
米軍横田基地が管理する東京都、栃木、群馬、埼玉、神奈川、山梨、長野、静岡の上空の「制限空域」が撤去されれば、東京ー大阪間は30分に短縮され、燃料の大幅な節約が可能になる。
③国家事業としてのオリンピックを口実に羽田増便、都心上空の低空飛行を強行する問題
オリンピックを口実にして、道路、施設等の公共事業、共謀罪など傍若無人がまかり通っている。
構造的暴力とは、権力・多数派・大企業優先などの社会の仕組みや構造により、不平等・不正義が押し付けられ、被害・苦痛・差別・格差などが生じること。私たち自身も自覚がないままに暴力の側に立っているということもある。常に少数派の苦痛、マイナス面を受けている人のことを考え、格差をなくしていく努力が求められている。