いまだに「効果が不明」とは!~第3回定例会一般質問より②~
私は、今年の7月に発足した「LGBT自治体議員連盟」に加入し、研修に参加しました。また、8月にはNPO法人ReBit主催の「学校で伝える多様な性-先生と授業実践を考える-」研修を受け、あらためて自治体の取り組みが重要であると確信し一般質問の項目にしました。
「LGBT」とは、性的マイノリティを総称する表現のひとつです。
練馬区では、第4次男女共同参画計画で、初めて「性的マイノリティ」への取り組みが明記され、一歩踏み出したと感じました。計画に沿って、男女共同参画センターえーるの相談項目に「性的マイノリティ、LGBT」が明記され、生活者ネットが要望した「相談窓口の明確化」が実現しましたが、この間LGBTと指定した相談がないとのことです。これは、周知不足だけではなく、区が、LGBT施策に前向きな自治体と認識されていないからではないかと考えます。
2015年第4回定例会での渋谷区が同性パートナーシップを認める条例を制定したことに関する質問に対し、「現実的な施策の効果が不明であること、また現行法との整合性など、検証すべき課題があることなどから、練馬区ではこのような取り組みをする考えはない」と、区が言い切ってしまったことは、関心を持つ人々の記憶に鮮明に残っています。当事者ならなおさらです。相談先を信頼できなければ、安心して心を開くことはできません。
世田谷区のパートナーシップ宣誓の取り組みに関するアンケート調査では、「存在が認められて安心感を得られた」、「同性パートナーシップ宣誓の取り組みが始まると聞いて転入した」などの声が寄せられています。同性パートナーシップ制度やそれに準ずる取り組みは、那覇市、伊賀市、宝塚市、札幌市と広がりつつあります。また、民間では、不動産や各種の保険、携帯電話などの契約に際し、同性カップルを家族として認める取り組みも広がっています。
1年9か月経過した今、あらためてパートナーシップ制度について区の考えを聞きました。
総務部長答弁:現実的な施策の効果が不明であること、現行法との整合性など検証すべき課題があることから、現時点では取り組む考えはありません。
なんと、いまだに「効果が不明」と答えたのでした。認識不足も甚だしいと思いましたが、「現時点では」とあるので、あきらめずに引き続きはたらきかけていきます。
13人にひとりがLGBTの当事者であるといわれるなか、区の職員には、当事者と接することを前提とした対応が求められます。また、当事者とともに働いているという意識も必要です。
文京区では、今年の3月に、基礎知識、区民への対応、子どもを取り巻く環境、職場内の対応などを具体的に明記した「性自認および性的指向に関する対応指針」を作成しました。世田谷区や豊島区では、職員互助制度の中で、同性カップルにも結婚祝い金や弔慰金などを支給しています。職員自らが関わる制度を見直すことで自分ごととして実感できるはずです。
パートナーシップ制度やそれに準ずる取り組みは、その制度を利用したいと思う人だけではなく、性自認(心の性)や性的指向(誰を好きになるか)を明かしたくない人にとっても「LGBTフレンドリー(LGBTの人々に対して温かく開かれた状態)の自治体」であると示すことです。
性的マイノリティの問題に目を向ける人が地域に増えることは、一人ひとりの違いが尊重される地域になり、誰もが安心・安全に暮らすことにつながります。性自認および性的指向を理由とした差別を禁止する条例やパートナーシップ制度の制定など、差別や偏見に苦しみ、生きづらさを感じる人々に寄り添う取り組みが自治体に求められています。