羽田増便問題、国交省へ要望書を提出
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて国際線を増便するために、都心上空を低空飛行するルートが発生する「羽田空港の増便問題」について、生活者ネットワークは安全性を最優先にするよう求めてきました。国は、7月28日に「環境等に配慮した方策」を公表し、さらなる対応を進めていくとしています。
関係自治体では、今回の計画に対して反対や懸念する声が広がっています。練馬区議会にも、丁寧な説明会や計画の見直しを求める陳情書が提出されました。
生活者ネットワークは、9月21日に国土交通大臣あてに計画の撤回を求める要望書を提出するとともに、情報公開や安全性などの課題を指摘しました。今後も住民への丁寧な対応を国に求め、粘り強くコンタクトを取っていきます。
以下、要望書を掲載します。
2016年9月21日
国土交通大臣 石井 啓一様
羽田空港増便・飛行ルート変更計画の撤回を求める要望書 国土交通省は羽田空港の機能強化と称して2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて国際線の年間発着枠を3.9万回に拡大することを想定して飛行ルートの変更案を打ち出しました。 昨年来行われてきた都内各地での説明会では反対・懸念の声が続出しています。関係各区・東京都議会への羽田空港問題見直しにかかる請願・陳情活動、市民集会などが活発化、危険な飛行ルート案の撤回、増便計画の見直しを求める動きが広がっています。 都心への低空飛行を解禁する今回の新飛行経路は、各区の住民(または都民)にきわめて大きな影響を与えるものです。かつて、住民の運動の結果、国土交通省も騒音の軽減、落下物事故など安全性を考慮し、都心上空を回避する海上飛行ルートを設定してき経緯があります。にもかわらず、今回の新飛行ルートの設定は、歴史的経過及び住民との信頼関係を根底から覆すものです。 国土交通省は飛行ルート変更による「環境影響に配慮した方策」と「羽田空港機能強化による経済波及効果報告書」を示しました。しかし世界でも類を見ない人口密集地を広範に、かつ低空で飛行機が飛ぶことへの危険性は、事業者への整備の徹底と抜き打ち調査という従来の対策強化で完全に避けられるものではなく、これは、成田空港周辺での落下物事故の件数でも明らかです。 経済波及効果の試算と共に万が一の住宅街への落下物による被害想定などを含む、社会に及ぼすリスク評価も不可避ですが、いまだ明らかにされておりません。経済が優先され住民の生命が危険にさらされる飛行ルートの変更は到底認められるものではありません。 今回の羽田空港増便・飛行ルート計画案は、観光政策とのマッチングばかりが優先され国民の安全より経済優先、国際競争力確保にあることは明らかです。羽田空港一極化という航空政策を抜本的に見直すためにも、羽田空港増便・飛行ルート計画案は撤回することを強く求めます。
以上 東京・生活者ネットワーク 代表 西崎 光子
|