国の18兆の補正予算を受けた、約60億円の練馬区補正予算が成立
2025年12月26日(金)練馬区議会2025(令和7)年第一回臨時会が開催されました。
12月16日に成立した国の2025年度補正予算は、一般会計の歳出総額が18兆3,034億円でコロナ禍を除き過去最大規模とのことです。以下の4分野で予算化されました。
1:生活の安全保障・物価高への対応:8兆9,041億円
2:危機管理投資・成長投資による強い経済の実現:6兆4,330億円
3:防衛力と外交力の強化:1兆6,560億円
4:今後への備え(予備費の確保):7,098億円
1の「生活の安全保障・物価高への対応」の8兆9,041億円を受けて、編成された練馬区の補正予算額は59億5,281万2千円。
(1)低所得世帯への給付金 20億1,955万円
住民税非課税世帯、児童扶養手当受給世帯、家計急変世帯を対象に、1世帯当たり2万円
(2)キャッシュレス決済ポイント還元事業 10億3,300円
ペイペイを活用し、対象事業者で購入した場合、還元率20%のポイント還元を2か月実施。
(3)住まいの防犯対策費助成金 1億5,842万円
カメラ付きインターフォン購入助成など。補助率3/4 1世帯あたり上限3万円
(4)物価高対応子育て応援手当 22億5,120万円
18歳までの子ども一人当たり2万円
(5)施設等運営支援臨時給付金 4億9,064万円
介護・障害・保育施設、幼稚園等を対象(2025年10月~3か月分)
生活者ネットワークの提案
どうなる?訪問介護ヘルパーの賃金アップ
私たちはこれまでの議会質問を通して、2024年度の介護保険改定において基本報酬が引き下げられ、厳しい運営を強いられている訪問介護事業所および訪問介護ヘルパーに対する支援を求めてきました。
第四回定例会の一般質問における同様の質問に対して区は、高市政権が示した総合経済対策において、医療・介護等支援パッケージとして報酬改定を待たずに介護分野等の賃上げを支援することになっているなどの答弁でした。しかし、今回の区の補正予算には含まれていません。
1万円/月の賃上げの実現はいつ?
月1万円相当の賃上げのための補助金が介護事業所へ交付される
対象期間は2025年7月~2026年5月 6か月間
都道府県が行う事業のため、東京都から区内介護事業者に案内が届くしくみ
結局、(今のところ)実現するのがいつになるのか不明確なまま・・・
「来年度の事業計画、経営計画を立てるときに賃上げ支援の補助金が不明確なままでは困る」という介護事業者からの声を聞いています。
介護保険改定は2027年ですが、国は、改定を待たずに2026年6月に介護報酬を改定するという考えです。そうなると、年度内に報酬額が変わることになります。さらに、事業者は秋の最低賃金の改定なども考慮して介護ヘルパーの賃金を決めるということも聞きました。
事業者が今後の見通しが立つように速やかに交付金額を示すよう都に対して区から要請することを求めました。
ペイペイ一択で良いのか?キャッシュレス決済ポイント還元事業
中小企業振興経費として、キャッシュレス決済ポイント還元事業経費が計上されています。これまでに4年連続で実施されてきました。
今回の経済対策の補正において、低所得世帯ではなく子育て応援手当の対象ではない区民を対象にした物価高対策という考えです。しかし、ペイペイを使える区民だけが対象、対象の事業者が限定されている、ペイペイ一択でよいのかなど複数の課題が指摘されてきました。
23区では、世田谷区や板橋区、中野区など5区が地域通貨を導入しており、地域通貨を活用したポイント還元に取り組んでいる事例を聞いています。また、市部では地域通貨を活用して全住民を対象に給付事業に取り組む事例もあります。
私たちは、ウォーキング等の健康活動と連動したポイント付与やPTA会費の電子化、有償ボランティアの対価など、経済対策にとどまらず、コミュニティの活性化や健康増進など区民協働、福祉の充実の視点でも地域通貨導入は有効なのではないかと考えます。デジタル技術も向上していることから、練馬区での導入の検討を要望しました。
省エネ家電等への買い替え促進による生活者支援の取りくみは?
国の重点支援地方交付金の推奨事業メニューの中に「省エネ家電等への買い替え促進による生活者支援」があります。これは、家庭におけるエネルギー費用負担を軽減するための省エネ性能の高いエアコン・給湯器等への買い替えなどを支援するものです。
区は、熱中症対策として、生活困窮者に対するエアコン設置助成事業を実施していますが、今年度の新規申し込みは10月31日で受付を終了しています。
国の「省エネ家電の買い替え」事業は環境施策の側面もありますが、暖房器具をストーブからエアコンなどに替えることで防火対策としても有効だと考えます。今後はこうした国の交付金を活用して、より柔軟な事業執行の検討を要望しました。
国は、経済対策として多額の補正予算を編成し、給付金事業が実施されることになりますが、場当たり的な臨時給付ではなく、生活保護費の引き上げや家賃補助などの住宅施策など「暮らしを支える」施策のための制度設計が必要ではないでしょうか。
引き続き、生活が良くなるための政治に取り組みます。
今年は、仕事納めの日に臨時議会が開かれました。
国の予算を受けて、少しでも早く区民の皆さんに区の補正予算を示すために尽力された区職員の方々に敬意を表します。
どうぞよいお年をお迎えください。
