困難な問題を抱える女性支援について~一般質問より~
昨年(2024年4月)、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律、いわゆる女性支援法が施行されました。
それまで困難な問題を抱える女性への支援は、1956年施行の売春防止法を法的根拠に婦人保護事業として行われていました。女性の直面する困難が多様化、複雑化する中で、婦人保護事業では、女性のニーズに十分応えられないと指摘されるようになり、女性支援法がようやく制定されたということです。
女性支援法は、困難を抱える女性が安心し自立して暮らせる社会の実現をめざし、当事者中心の支援や多様な支援を包括的に提供する体制の整備、民間団体との協働、早期から切れ目のない支援などを政策の基本理念に掲げています。
「居場所事業 まるく」の実績と課題、今後の展望は
区は、今年度(2025年度)からの第6次練馬区男女共同参画計画において女性支援法に基づく具体的施策の事業化にいち早く取り組んでいます。特に、公的な相談につながりにくいなど、支援のハードルが高い若年女性を対象とした「居場所事業まるく」は、他自治体からも関心が寄せられています。「まるく」は、偶数月は練馬区団共同参画センターえーるで、奇数月は区内のカフェで実施しています。
家族関係の悪化、いじめ、不登校、中途退学、孤立、親からの性虐待・暴力、予期せぬ妊娠、希死念慮、自傷行為など、複雑な困難に直面している若年女性の支援のさらなる深化が求められています。
一般質問でこれまでの実績と課題、今後の展望を質しました。
これまでに延べ47名の利用があり、参加者アンケートでは82%の方が「また来たい」と回答しているとのことです。
若年女性は、支援を必要としながらも相談につながりにくいことから、事業の周知が課題。SNS等の活用や民間団体や学校を通じた案内カードの配布などをさらに行っていくという考えです。
今後、利用状況を踏まえ、民間団体などとも協議しながら換算頻度や開催場所について検討していくとのことです。
女性支援法の周知を
先進事例に取り組んでいる他の自治体の報告では、「数多く視察を受け入れてきたが、法施行から1年が経過して視察がほとんどなくなった。現場での支援の課題は山積しているにもかかわらず、女性支援法成立の意義の認識が社会的に後退しているのではないか」と懸念していました。基本理念に即した実効性のある女性支援を実現するには、区の職員にとどまらず、広く区民の皆さんに女性支援の必要性や支援法の意義、理念、目的などを理解していただくことが必要です。
区は、職員の女性支援についての理解を深めるため、女性自立支援施設から講師を迎え、福祉職や委託事業者に向けた合同研修を実施。全職員を対象のコンプライアンスeラーニングの中で支援事業等を周知しているとのこと。
区民の女性支援への理解増進につながるよう、今年10月発行の男女共同参画情報誌「MOVE」にて女性支援に関する特集記事を掲載したほか、「女性手帳」やパネル展などで女性支援の必要性や相談先などについて周知しています。
さらなる女性支援の拡充を
今日の日本社会で「女性」というだけで生じる、あるいは生じやすい困難は、性暴力やDV、ハラスメント、性的搾取の被害などにとどまりません。低賃金、非正規雇用などによる将来不安や経済的困窮、育児や介護などケアの重い負担、予期せぬ妊娠など実に多様なものであり複合化しています。さらには高齢や障害などの複合的な困難もあります。だからこそ、困難な問題を抱えるすべての女性を対象にした施策の拡充を求めました。
