区民との対話ですすめる区政を

第三回定例会の2024年度決算議案に反対

区立学校適正配置計画の下すすめられている豊渓中学校の統廃合や、来年度の着工見送りが決まった区立美術館・貫井図書館再整備について、計画の見直しを求める意見を顧みず、住民との合意形成が不十分なまま計画通りに予算を執行してきた2024年度決算を認めることはできません。
区民と直接対話する場を設けようとしない現状は、本当に区民と協働する覚悟があるのか、区の姿勢が問われています。

区民との対話ですすめる区政を求めて、決算議案に反対しました。
以下、反対討論です。動画はこちらからご覧ください(やないの登壇は26分ごろから)

生活者ネットワークを代表して、議案第96号 2024年度練馬区一般会計、第97号から99号の2024年度国民健康保険事業会計、介護保険会計、後期高齢者医療会計の決算議案に反対の立場で討論をおこないます。

2024年度予算は「『第3次みどりの風吹くまちビジョン』に掲げる施策を着実に推進し、練馬区の更なる発展に取り組む」と位置づけ、区民の命と健康を守る事業を最優先としつつ、区民生活をより豊かにする施策を推進するとして編成されました。6回の補正をおこなった予算総額4982億213万円に対して、歳入総額は4875億552万円、歳出総額は4782億190万円で、93億362万円の黒字決算となりました。

「区民の命と健康を守る事業を最優先」としながら、十分な予算執行であったとはいえません。特に、2024年度の介護報酬改定において、在宅介護を支える訪問介護の基本報酬が引き下げられ、地域に根差した小規模の訪問介護事業所の多くが経営の危機にさらされているにもかかわらず、区が実施したのは光熱費高騰に伴う施設等運営支援臨時給付金のみで、訪問介護事業所には一事業所あたり15000円という非常に少額の給付にとどまったことを看過できません。

区は、「介護報酬の改定は制度設計した国の責任において実施するべきもの」という考えですが、地域に根差した訪問介護事業所の危機は、「安心して住み慣れたわが家で暮らし続けること」の危機である、と私たちは考えます。報酬引き下げについて、区内の訪問介護事業者から「実情に沿っていない」という声が出ているのですから、現状を把握し適切な支援をすべきでした。

反対の理由のふたつめは、予算編成時点で、当初76億円としていた工事費が約90億円に膨らみ、さらに上昇する可能性があることが容易に想像できたにもかかわらず、区立美術館・貫井図書館再整備に係る経費を計画通りに執行したことです。

区立美術館・貫井図書館の建替え計画は、2022年の「基本設計」の段階から、建設業に働き方改革関連法が適用されることによる人手不足問題の深刻化、人件費が増大する、いわゆる「建設業の2024年問題」と、建設資材の高騰が予測されていました。中野区や目黒区、北区、江戸川区など23区でも相次いで公共工事の見直しを余儀なくされている状況において、計画の見直しを求める区民に向き合わず、美術館の再整備計画を進めてきたことを容認することはできません。

さらに、環境施策において、2050年までにCO2排出実質ゼロとする脱炭素社会の実現に向け、区民・事業者と協働して総合的な環境施策を展開するとしていますが、区民に対して使い捨てプラスチックを使わないライフスタイルへの変容を促すとしながら、庁内においてプラスチック削減が徹底されていません。積極的に取り組み脱プラへの本気度を示すべきです。

教育施策においては、何といっても豊渓中学校の統廃合の進め方についてです。今やるべきことは計画を強引に決定し、すすめることではなく、子どもたちも含めた地域住民とともに話す場をつくることです。計画ありきで進めるべきではありません。
また、私たちが何年も前から指摘し対策を求めてきた香りの害「香害」、化学物質過敏症について、先進的だった区の取り組みはいまや周回遅れと言わざるを得ず、アップデートが必要です。他の自治体の取り組みを参考に、たとえば、具体的に香りなどによって不調が生じ得ることがわかるように保健調査票の記載内容を見直すなど、児童生徒の健康を守る視点で区としてできる対策に取り組むときです。

区民意見募集、パブリックコメント実施についての区民への発信や区民と直接対話する機会である説明会を設置することに消極的な現状は、本当に区民と協働する覚悟があるのか、区の姿勢が問われています。

国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療制度は、上がり続ける保険料や負担割合の増加が低所得者や若者、単身女性、年金生活の高齢者の暮らしを圧迫しています。
税金の投入割合を増やすなど、抜本的な改革を強く国に求めるべきです。

区民との対話ですすめる区政を求めて、生活者ネットワークの討論を終わります。