山形市 介護人材確保・定着の取組 ~委員会視察報告②

11月11日、医療・高齢者等特別委員会として山形市福祉推進部地域共生社会課の取り組みを視察しました。

山形市の状況

高齢化率
市の総人口は減少傾向にあるが、65歳以上の高齢者人口は年増加
2025年4月1日時点 31.3% ⇒ 2040年度 36.9% と試算している

介護人材の確保・定着
山形市がめざす「健康医療先進都市」の確立に向けて、年齢を重ねてもその人が望む暮らしを送ることができる魅力あるまちづくりを進めることが重要。この実現のためには、介護が必要になった時に、介護を必要とする方や介護者が安定した生活を送ることができる環境整備が必要であり、その基盤となる介護人材・定着に向けた取り組みを推進している。(山形市高齢者保険計画より)

介護発!魅力ある職場づくりによる
YAMAGATA発展プロジェクト

介護業界を起点に地域全体の活性化をめざす取り組み
①山形市介護人材確保推進協議会
介護人材の確保を目的に介護事業者や教育機関、関係団体等から構成され、2018年度設置。協議会を通じて多様な関係機関と協議等を行いながら、市の事業についてPDCAサイクルに沿った事業運営を行っている。(2回/年 開催)
②介護の魅力発信事業
学生によるSNSやWEBを活用した介護の魅力発信
小中校生を対象に介護の魅力発信イベントを開催
③生産性向上モデル事業
「生産性向上=テクノロジーの活用、業務の効率化」ではなく、
生産性向上の本質は「現場に向き合い、人を育てること、働きがいを高めること」
④ハラスメント対策
マニュアルを作成することの効果:研修等で具体的な対策を知るとともに「職員を守る職場」であることを示す役割
動画作成にあたり、市内の介護事業所職員が出演するなど連携
計画最終年度の2024年に、市が作成したマニュアルを事業者に配布したとのことです。

事業の背景
2040年を見据えて、介護サービスを安定的に提供していくためには、介護人材の確保が喫緊の課題
事業期間
2022年度~2024年度
財 源
(国)デジタル田園都市国家構想交付金
事業費 900万円/年(国1/2 山形市1/2)×3年
KPI((重要業績評価指標)

KPI 2022 2023 2024 実績値 目標値
①介護事業所の職員増加数(人) ー33 ー10 60 17 960
②介護事業におけるロボット・ICT導入割合(%) 19.9 12.3 5.4 37.6 54.0
③ハラスメント対策マニュアル作成事業所数 159 78 52 289 600

 

その他の事業:有償ボランティアマッチング事業

スケッター」の紹介
介護人材のすそ野拡大を目的
学生:就職前に介護業界の内部を知ることができる
高齢者:社会参加、社会貢献を通じた社会とのつながり、生きがい創出

今後の展望

これまで介護分野で行ってきたことを障害福祉分野へ横展開する
高齢者介護では、「生産性向上の取り組み」「ハラスメント対策」を各事業所において自走による取り組みを推進

介護人材の確保・定着はどの自治体においても大きな課題です。
人手不足の中、外国人材の活躍が期待されていますが、「言葉や文化の違いに加えて気候も大きな要件。寒冷地である山形市はなかなか外国人材が定着しない」と担当者は実情を述べていました。
KPIの数値はいずれも目標を下回っていますが、2025年度から「地域共生社会課」を新設し、人材確保推進係で引き続き力を入れて取り組んでいくとのことでした。

ハラスメント対策について、練馬区では「すぐわかる介護保険」の冊子に掲載(生活者ネットワークが提案!)し、利用者への啓発を行っています。山形市では市のホームページに事例ごとの動画を掲載しています。介護事業所の職員だけではなく利用者への啓発にも有効ではないかと思います。練馬区でも参考にしてほしいと思います。

余談ですが・・・
山形市議会は明治22年から!

明治維新によって藩が廃され県に改められたのち、明治22年4月1日に市制が施行されました。山形市は、大阪市や横浜市などとともに日本で最初に市制が施行された31市のうちの1市だそうです。
市議会議場と同じフロアに、明治22年からの市議会議員の名前が記されたプレートが設置されています。