森林環境譲与税を活用した「カーボンオフセット事業」検討へ~2024年度予算質疑より~
2019(H31)年3月、「森林環境税および森林環境譲与税に関する法律」が成立。同法律に基づき「森林環境税」「森林環境譲与税」が創設されました。
税創設の目的:2018年5月に成立した森林経営管理法を踏まえ、パリ協定の枠組みのもとにおける我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るための森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する。
「森林環境税」は、2024年度から特別区民税・都民税(個人住民税)の均等割の枠組みを用いて、国税として1人年額1,000円を納めることになります。(2014年度から今年度までの10年間、住民税の均等割りに上乗せされていた「復興特別住民税(東日本大震災の復興のための増税)」として徴収されていたものが「森林環境税」に移行とも考えられる?)
納税義務者が約6200万人。税収は620億円。その全額が、森林環境譲与税として都道府県・区市町村へ譲与されます。
「森林環境譲与税(以下、譲与税)」は、市町村による森林整備の財源として、2019(令和元)年度から、市町村と都道府県に対して、私有林人工林面積、林業就業者数及び人口による客観的な基準で按分して譲与されています。
人口が配分算定の基準の一つになっているので大都市への配分が多くなっている現状があり、広い森林を抱え整備が必要な自治体にとっては、単年度では少額すぎて使途がなく、積み立てて事業に充てるしかないというケースもあるようです。総務省と林野庁の調べによると、制度開始の2019年度、20年度に自治体に配分された資金の約54%が使われずに基金に使われていたとのことです。
私たちは、練馬区の友好都市である長野県上田市の森林整備に譲与税を活用し、カーボンオフセット事業に取り組むよう提案してきました。
譲与税は、森林整備のほかに林業人材の確保・育成、地域産木材の活用など使用目的が定められています。区は、憩いの森の整備や学校改築時の多摩産材の調達などに活用してきました。
24年度の練馬区への配分は8000万円。23年度の7500万円から増額した500万円でカーボンオフセット事業の検討に着手します。
上田市の林業の活性化、区のCO2削減目標達成のほか、植樹や森林セラピー、伐採や間伐体験など環境意識の啓発や上田市との交流促進も期待されます。区立学校の改築に際し、上田市の木材を使うことも考えているとのことです。
2024年度は事業着手の検討ですが、植林~育成~伐採・活用~植林 と継続的に行われる環境と時間が必要です。計画的に継続して取り組んでいくことを求めました。