どうなる⁉介護保険

あなたの介護保険料はいくら?

40歳になったら一生涯納め続けることになる介護保険料。自分の保険料がいくらか、意識していますか?

64歳までの間は、勤務先の健康保険や国民健康保険の保険料と合わせて徴収されるので、金額を知らない方も多いのではないでしょうか。
65歳以上は自治体ごとに保険料が定められます。
練馬区の基準額は年間79,200円(2021年~23年)。所得に応じて17段階の保険料が定められています。

特別養護老人ホームなどの施設整備やサービスの拡充など、利用者や家族のニーズに応えるためには保険料を上げざるを得ないしくみになっています。

介護の現場は常に人手不足

介護事業経営は、いかに「介護人材」を確保、定着できるかが勝負。介護職員を確保しない限り事業展開は難しいと言われています。
知り合いが経営する事業所では、訪問介護の有資格者を募集しても人材が集まらないために訪問介護部門を閉鎖したと聞いています。同じようなケースは他にもあるのではないでしょうか。
施設介護も例外ではなく、人材不足が職場環境を悪化させ、さらなる人材不足を招いています。

団塊の世代が85歳になり高齢者人口がピークになる2035年、専門家は「介護難民」が増大する危険性を指摘しています。
「介護事業所が要介護者を選ぶ時代になる」とも。
保険料を納め続けてきたのに、いざ介護が必要になっても制度を利用できないことになりかねません。

介護は社会投資

介護システムが整備されないと「介護離職」で現役世代が安心して働けず、経済活動にも支障が生じることに繋がります。
税金を投入するなど、制度を超えて介護報酬を大幅に見直すとともに、介護職の就労環境を整備し「介護」を魅力ある仕事にしなければ将来の不安は解消しません。

私の周囲には「介護は、日々の学びと経験を活かすことができるやりがいのある仕事」という仲間たちが大勢います。「仕事に見合った対価が得られれば一生の仕事にしたいのに」という若者も。

介護離職防止のための取り組みや、報酬の大幅アップと就労環境の充実などで介護を魅力ある仕事にして雇用を創出することなど、介護や福祉を経済政策として進めることが必要ではないでしょうか。

ここに書いたことは、今に始まった話ではなく、むしろ言い古されているものです。しかし、財源不足を理由に3年ごとの介護保険改定では改善するどころか、利用者にとっても地域に根差した事業者にとっても過酷になるばかり。
私たちが納めた税金は、もっと福祉向上に振り分けられるべきです。

淑徳大学総合福祉学部教授 結城康博氏の講義は、介護報酬改定と防衛費増額との関連性などにも触れ、とても興味深い内容でした。