練馬城址公園整備は専門家や練馬区民とタッグを組んで

「としまえん」閉園から1年半。現在、敷地の一部を占めるハリーポッタースタジオツアー施設が2023年の開業に向けて建設工事がすすめられています。

としまえん跡地は、「緑と水」「広域防災拠点」「にぎわい」という視点で東京都が「都市計画練馬城址公園」として整備する計画になっています。
事業主体は東京都ですが、整備にあたって私たちは、住民参加による公園づくりをはたらきかけてきました。

4月29日、としまえんの未来を考える会主催の公園づくり学習会に参加しました。

中世豊島氏と練馬城

講師:葛城(かつらぎ)明彦氏(日本史家・作家、練馬郷土史研究会及び練馬区地名研究会会員、石神井公園ふるさと文化館サポーター、近著:「決戦ー豊島一族と大田道灌の闘い」)

豊島一族は、約950~1000年前の平安後期に入間川(荒川~隅田川)下流部の開拓を始め、現在の北区豊島あるいは王子~上中里付近に拠点を構え「豊島」を名乗り始めたとのことです。
豊島氏の居城のひとつである練馬城は、としまえんのハイドロポリスのところにあった。
「としまえん」は豊島一族に由来している。
照姫まつりは区内最大級のイベントですが、照姫の父親である豊島泰経(勘解由左衛門尉かげゆざえもんのじょう)の居城が石神井城。練馬城は泰経の弟、泰明(平右衛門尉へいうえもんのじょう)の居城。
(「照姫伝説はフィクションですよ」と葛城氏)

練馬城は戦国初期の城。
巨大な戦国大名が出現する前の時代で、天守閣などはなく小規模で平屋のお城。
だから、見栄えしない→あまり知られていない
しかし、最先端だった?
石神井城の「横矢掛かり(侵攻する敵に対して側面から攻撃する)」、練馬城の「馬出(城の出入り口を守る小陣地)」は、ともに最初期の出現例(その後、戦国期に全国で一般化した)。

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」~戦国時代の始まりまでの城が変わる過渡期、時代のはざまに位置したのが練馬城と石神井城なのです。区は、照姫まつりとの関連も活かし、観光スポットとしての魅力を発信すべきではないかと思いました。

横矢掛かり

馬出

としまえんの古城の塔

講師:岡田英明氏(練馬城址豊島園「古城の塔」の保全と活用を考える会代表)

古城の塔は、大正15年の豊島園開園当時の全景図でも確認でき、シンボル的な建物。
日本建築学会から保存活用の要望書が提出されるような貴重な建築物。
空襲で被災した豊島園において焼失しなかった数少ない建物。
練馬防空監視監視哨が設置されていた可能性もあり「戦争遺跡」としての可能性、価値もあるとのこと。

防災拠点などを目的に整備する公園として、営利目的ではないからこそできる整備があるはずです。
東京都は、環境や歴史を尊重し、専門家や練馬区民とタッグを組んで多様な主体による公園づくりに取り組むべきであり、都と区の連携は必須です。

練馬城址公園工事説明会

延期していた公園整備工事、プール等既存施設の撤去工事の説明会を開催。
当初予定からの主な変更点は、樹木の伐採と植栽本数、工事期間。
日時:5月13日(金) 18:30〜19:30 、5月14日(土) 10:00〜11:00
会場:区立春日小学校 体育館

あいにくの悪天候でしたが、会場は満席。オンラインの参加もありました。