石神井公園駅周辺整備、住民の合意形成は未だ不十分
西武池袋線石神井公園駅西口改札から石神井公園に向かう地域一帯の再開発事業について、生活者ネットワークは、まずは十分な住民の合意形成を図るべき、と指摘し拙速に進めないようにはたらきかけてきました。
区は、7月に「石神井公園駅南地区地区計画・石神井公園駅南口西地区第一種市街地再開発事業等」原案説明会を開催するなど、第2次みどりの風吹くまちビジョン アクションプラン[年度別取組計画](2019年度~2021年度)の目標に示された「今年度中の都市計画決定」に向けた動きが出てきました。
この事業の推進、見直しを求める合計6件の陳情が区議会に提出されています。
10月13日の都市整備委員会でこの陳情の審査がおこなわれ、推進を求める2件の陳情が採択されました。
区議会第3回定例会の最終日、陳情審査の結果に反対する討論をおこないました。
以下、討論を掲載します。
生活者ネットワークを代表して、陳情第4号・都市計画道路補助232号線の延伸中止と石神井公園駅南口西地区再開発事業の見直しを求めることについて、陳情第22号、陳情第42号・石神井公園駅南口西地区再開発事業について、陳情第43号・石神井公園駅南口西地区再開発事業の見直しについての願意に賛成の立場で討論を行います。
石神井公園駅南口西地区再開発事業について、区は、まちづくり懇談会や市街地再開発事業検討状況報告会を開催し、「住民にご理解いただくために丁寧に説明してきた」と言っています。しかし、地域住民との合意形成を経て、2012年に建築物の高さ制限を35メートルとした地区計画を決定したのに、なぜ駅前に100メートルを超す超高層ビルを建てられるのか、再開発準備組合が示した計画案がみどり豊かな石神井公園駅のたたずまいとしてふさわしいのか、さらには、ビル風の影響を懸念する声、などいくつもの地域住民や駅利用者の疑問や不安は払しょくされていません。
区が、7月に示した、石神井公園駅南地区地区計画・石神井公園駅南口西地区第一種市街地再開発事業等の原案に対して、8月の公聴会では、公述人の定員10名を上回る応募がありました。原案に対する意見書は300通以上、要旨だけを見ても地域住民の理解、合意形成が不十分なのは明らかで、このまま強引に進めるべきではありません。
新型コロナウイルス感染症は人々の価値観を大きく変えました。変えざるを得なくなったという方が正しいかもしれません。経済の先行きが不透明な中、超高層住宅のニーズはあるのか、将来、数百戸の住宅街として適正に維持できるのか疑問を持たざるを得ません。開発事業者は、事業が完了したら終わりですが、入居者も含めて将来にわたるまちの姿を想像できているでしょうか。
完成後5年の大泉学園駅北口ビルでは、空き店舗が発生しています。また、再開発ビルが埋まらず、公共施設を買い増した自治体の例もあり、慎重に検討すべきです。
区も、都も、国も厳しい財政運営を求められている状況なのですから、多額の税金を投入する公共工事は一旦見直し、医療、保健、福祉に充ててほしいというのは、ごく当たり前の感情だと思います。
陳情第30号、31号は、関係権利者、地域住民として石神井公園駅周辺の環境整備や経済活動の活性化を求めるものであり、住民の声として向き合う必要があると考えます。だからこそ、関係権利者や商店街、地域住民の合意形成ができていない中で、再開発事業を推進する側だけの陳情を採択したことは、住民の分断をさらに深めることになり、容認することはできません。
再開発事業に対する住民のさまざまな声を受け止めることが区議会としての責務であり、再開発事業の見直しを求める陳情を採択すべきです。
以上で生活者ネットワークの討論を終わります。