なぜ、貯蓄額まで?高齢者基礎調査の設問の意図は

今年度は、2021年度から3か年の「第8期練馬区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」を策定する年です。

計画策定にあたり、昨年12月~今年1月に実施された調査の報告書が完成し、5月26日の保健福祉委員会(資料はこちら)で報告されました。

実は、調査票が届いた区民の方から「人の貯金を訊くなんて、詐欺じゃないかと思った」と苦情が届いていました。
今回の調査から貯蓄額などを問う項目が新たに追加されたようなので、委員会で設問の意図などを質疑しました。

区の答えは以下の通りです。
これまでも収入は訊いてきた。高齢者の主な収入は年金だが、収入だけでは経済の状況を計ることは難しい。老後の生活に必要な預貯金が話題(老後に2000万円必要、というアレですね)になったが、経済的な状況を把握するために貯蓄や収入を訊いた。
区の方にも、同様(なぜ、預貯金まで答えなければならないのかなど)の問い合わせは複数あった。設問の意図を説明し理解を得るとともに、答えにくい設問は未回答のままでも良いので調査への協力をお願いした。

「裁判所や消費者相談所など、公的な機関と勘違いしそうな名称使って文書を送りつけてくる詐欺郵便が届いた」という申し出を度々聞いています。受け取る側が誤解しないように説明を添えるなどの工夫が必要だと感じています。

次期計画策定に向けて、調査対象は多岐にわたっています。

  1. 高齢者一般調査
    介護保険の認定を受けていない65歳以上の区民から無作為抽出した2500人(回収率57.9%)
  2. 要支援・要介護認定調査
    介護保険の認定を受けている65歳以上の区民から無作為抽出した5000人(回収率47.1%)
  3. これから高齢期を迎える方の調査
    介護保険の認定を受けていない55~64歳の無作為抽出した800人(回収率44.9%)
  4. 特別養護老人ホーム入所待機者調査
    特別養護老人ホーム入所待機者、全1535人(回収率48.3%)
  5. 介護サービス事業所調査
    介護サービスを提供している区内の全事業所 1004か所(回収率51.2%)
  6. 施設入所者調査
    有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホーム、都市型軽費老人ホーム等の65歳以上の入所者
  7. 介護予防・日常生活圏域ニーズ調査
    介護保険の認定を受けていない65歳以上の区民および介護保険の要支援1・2の認定を受けている65歳以上の区民から無作為抽出した4400人(回収率70.8%)

報告書本編および概要版は、6月1日から練馬区のホームページに掲載(無償でダウンロード可能)されます。練馬区高齢者基礎調査のダウンロードはこちら

 

介護保険事業計画策定の折に、度々区は、「区内には介護サービスを提供する事業者が多く、区民のニーズに合った多様なサービスを提供できている」と応じてきました。

今回の調査は、新型コロナウイルス感染症拡大前に実施されたものです。
区内の事業者からは、感染を懸念して利用者が減少し大幅な減収で、今後存続できるのか不安だ」、「利用者と従事者、双方の健康を守るための対策に追われ、事業者支援策などを考える余裕がない」などの声を聞いています。
他の自治体では、独自に事業者への支援を決めたという報道もあります。区民ニーズに応えるためには事業者支援も区の役割だと思い、練馬区も検討するよう求めました。

区では、補正予算編成にあたり介護従事者への支援を検討しているとのことです。注視していきます。

また、高齢者保健福祉計画および介護保険事業計画に関する事項などを審議する介護保険運営協議会は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために中止や延期、書面開催が続いて、傍聴が叶わない状況です。
介護保険事業計画策定にあたり、各委員の意見がわかるように求めたところ、ホームページ上で公開しつまびらかにしていくと答えました。

長期間にわたる自粛要請のために、デイサービスの利用を控えたり、介護予防の事業が休止になることで、身体的にも精神的にも影響が出ている利用者や家族は少なくないと聞いています。
次期計画策定にあたっては、現状も踏まえ議論する必要があると思います。
高齢者施策の基になる、高齢者保健福祉計画や介護保険事業計画策定にあたり、みなさまのご意見をお寄せください。

 

なお、障害者基礎調査の報告書も同じタイミングで完成、報告されました。
高齢者基礎調査と同じく6月1日から区のホームページに掲載されます。練馬区障害者基礎調査のダウンロードはこちら

委員会では、合理的配慮に関することなど質疑しました。
この調査も、来年度からの「練馬区障害者計画」「第六期障害福祉計画・第二期障害児福祉計画」の基礎データとして活用されます。計画策定にあたって、みなさまからのご意見をお寄せください。