このまま決まってしまうのか⁉都心上空低空飛行ルート

国は、何が何でも、東京五輪・パラリンピックに向けて増える(と予想される)訪日客に対応できるように、世界でもまれにみる超過密都市上空に着陸態勢の飛行ルート計画を推し進めたいようです。

15時~19時に住宅街の上を飛ぶ

「羽田空港機能強化」と称して、羽田空港の国際線を増便する。そのために、南風の日の15~19時に都心上空を超低空飛行することになります。
東京五輪開催の間だけではなく、その後もグローバル経済に対応するため、まだ公にはなっていませんが、現存の2本の南北方向の滑走路に加え、さらに増設する計画があります。
2014年の計画発表以来5年間に、区内では国交省主催の第5段階に応じた説明会と区主催の教室型説明会が開催されてきました。

区内では、新ルートによる騒音はもちろんのこと、落下物や部品脱落、旅客機の墜落事故を懸念する区民からの意見が再三出されていました。
しかし、国は、「落下物ゼロを目指す」と繰り返すばかりで、まったく誠実さを感じられません。

計画は見直しを!シンポジウム開催

このまま強行に計画通りに進められてしまうのではないかと懸念し、自治体を超えて連帯する住民によるシンポジウムが7月19日(金)に開催されました。
講師は、元日本航空パイロットで航空評論家の杉江弘氏。現在日本の航空会社すべてで採用されているスタビライズドアプローチ(安全な進入着陸方式)は、杉江氏が安全推進部所属時代に考案導入したものだそうです。

今の計画では、南風時の午後実質3時間を都心上空を低空飛行するルートの新設を含め、1時間当たりの発着上限を現在の80回から90回まで拡大するというものです。
しかし、杉江氏は、管制の指示の出し方を変えるだけで十分対応できる、すでに海外の空港では行われていると指摘します。
さらに、騒音軽減のために飛行高度を従来の3.0度から3.5度に引き上げる方針に替えられるのではないかと懸念を示しました。「たった0.5度と思うかもしれないが、パイロットにとってみれば断崖絶壁を急降下するに等しい。現場の声をまったく聞かない、机上の空論だ」と断言しました。

7月19日夜に開催されたシンポジウム。会場の大井町きゅりあん小ホールは満席。

◆計画ありき、スケジュール優先で、住民は置き去り

国が設置した「首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」に都および23区、区部周辺市(武蔵野市、三鷹市、調布市、狛江市、西東京市)が情報共有や意見交換を行い、反映させることを目的に、東京都が「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会」を設置したのが2014年8月。「国主催の協議会の進捗を見ながら、必要に応じて開催を予定する」としながら、この5年間、1回も開催されませんでした。ところが、この連絡会が7/30(火)に開催されることが、7/26(金)に都のホームページで公開されたのです。
当日の資料はこちら議事録も異例の速さで公開されました

この会議では、今後のスケジュールや騒音・落下物対策が国から粛々と伝えられ、いくつかの自治体からは質問や意見が出ましたが、それは、国の担当者が退席した後です!!
都が、この意見を国が主催する協議会に「区民の意見を踏まえた意見」として添付すると言うのです。
この時点で、来年の3月29日の夏ダイヤへの改編時から新ルートを導入するという説明です。他にも、「飛行検査」や「試験飛行(実際の航空機を使用)」のスケジュールも書き込まれています。

さらに、国のホームページで8月5日付で「第5回首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」が明後日の7日に開催される旨が公表されたのです。
この「協議会」といい、都主催の「関係区市連絡会」といい、いかに住民に知らせたくないか、うかがい知れるというものです。

もう、このまま計画が強行されてしまうのを手をこまねいて見ているしかないのでしょうか!?

どんなに落下物対策を強化しても、落下物はゼロにはできません。
そもそも、この計画を知らない住民のほうが圧倒的に多いのです。
今後計画されている飛行検査等の徹底した情報公開を求め、安全軽視の計画の見直しを引き続き求めていきます。