地域包括支援センターを地域福祉の拠点に

国は「我が事、丸ごと」「地域共生型社会」を強く打ち出しています。高齢者、障がい者(児)、子ども向けの福祉サービスを地域全体で一体的に支えるという考え方です。
しかし、単なる人材確保策、規制緩和、財政削減策として、地域のボランティアを活用した「安上がりな福祉」の押し付けになってしまうことを危惧します。

区では、2016年度から大泉地区で、2017年度から豊玉地区で、社会福祉協議会が中心となって高齢者、子ども、障がい者を支援する事業者が話し合う「生活支援サービス充実のための協議体」を開催しています。生活支援コーディネーターや地域包括支援センター、地域のサービス提供団体が課題を共有し、連携を強化する場になっています。「団体同士で相談し合えるようになった」、「介護、障害など複合的な課題を持つ方への支援が円滑になった」などの声が寄せられているそうです。私たちところにも、「地域にどのような資源や活動があるのかわかり、有効な交流だ」と参加している事業者からの意見が届いています。

現在、区全域でひとつと大泉と豊玉地区それぞれで開催されている「生活支援サービス充実のための協議体」が、地域包括支援センターごとに開催されると、身近な地域の課題を地域の中で共有する機会になるのではないかと提案しました。しかし区は、この協議体は、光が丘、石神井地域での設置に向けて検討していて、4地域での開催で十分だと考えているようです。

今年度から、地域包括支援センター単位で「地域ケアセンター会議」を新たに設置し、町会・自治会、NPOやボランティアなど地域団体同士の関係づくりや地域課題の共有をおこなっていくとのことです。
この会議の開催にあたっては、地域の社会福祉協議会と相談しながら「生活支援サービス充実のための協議体」での関係性や経験を活かしていく考えだそうです。

世田谷区では、地域包括支援センターを「あんしんすこやかセンター」という名称にして、2016年7月から、高齢者に関する相談に加え、障がいのある方や子育て中の方などの身近なご相談も受けています。

住み慣れた地域を住み続けたい地域にするためには、歩いて行ける範囲に福祉の拠点が必要です。「地域包括支援センター」を地域福祉の拠点ととらえ、高齢者・子ども・障がい者、介護する側・される側など一人ひとりの困りごとをワンストップで受けとめる場所となるよう、人材配置・育成や機能強化、センターを増やすことなどをはたらきかけていきます。