「外環の2」ありきの西武新宿線の立体化、メリットだけでなく課題を共有化すべき

 入り口では、ねり丸がお出迎え、会場受付では大勢の職員が、入場者一人一人に丁寧に対応する仰々しさ。125日(日)に開催された「西武新宿線立体化促進協議会 結成大会」に出席し、区の並々ならぬ意気込みを感じました。

 沿線の区域の50か所の町会・自治会、商店会、学校などに呼び掛けたとのことですが、当日は10か所の町会・自治会の会長、11か所の商店会の会長、10校の小中学校のPTAや保護者会の会長が構成員として名を連ねました。全体の参加者は200人だったそうです。

 式次第に沿って、協議会規約、結成宣言や活動方針が読み上げられ、ファンファーレとともに拍手で承認された形なりました。役員、来賓あいさつの中では当然のことながら、鉄道立体化のメリットだけが熱く語られ、来場者の多くが「西武新宿線立体化の早期実現を」と手放しで期待を寄せたことでしょう。しかし、どれくらいの出席者が、住環境を破壊し多額の税金を投入する「外環の2」のことを詳しく知っていたのでしょうか。また、「外環の2」ありきでは、もっとも踏切事故の危険性が高い上井草駅周辺の整備がさらに先送りにされるのでは、と懸念する声があるなど、さまざまな地域課題はまったく共有されていないことも問題です。

 区内の西武新宿線にある、13か所の踏切が鉄道の立体化によって除却されれば、交通渋滞の解消が見込まれ、「外環の2」を整備する必要性がなくなります。また、区は「鉄道が、地域の分断による生活の不便や沿線地域のまちづくりの遅れなど問題を引き起こしている。」としていますが、22メートル幅の「外環の2」や「青梅街道インターチェンジ」によって地域は分断され、問題解消にはなりません。さらに、上石神井駅周辺の整備は、外環本線が地下化したことで、区は、都の事業である「外環の2」の整備をあてにして進めざるを得なくなりました。しかし、長年放置されてきた駅周辺の整備は、まちづくりとして区独自で整備すべき課題です。

 

 

 

 

 

 会場入り口周辺では、「とめよう『外環の2』ねりまの会」が、少しでも現状を知らせたいとニュースを配布し、区長自ら住民と真摯に向き合うように抗議しました。

 

 「地上部へ影響を及ぼさない」目的で、外環道本線を高架式から地下化に計画変更した時点で、地上部街路の必要性はなくなりました。区内だけでも、約400件を立ち退かせて、地上部にも新たな道路を通す「外環の2」の計画は白紙に戻すべきです。区は「道路を作ることがみどりを増やし、生活を豊かにする」などと説明していますが、道路整備のために貴重な八の釜憩いの森周辺の緑地を売却し消失させ、街路樹を植樹しても、みどりの代替にはなりません。

 また、現在も杉並区や武蔵野市では、計画廃止も含めて住民との「話し合いの会」が継続中であるにもかかわらず、都は練馬区の要望を受けて区内の3㎞部分だけの都市計画変更を決定しました。これでは、「大泉JCT部の1㎞区間以外は外環の2』全線を一体的に考える」、「都市交通のネットワークを形成し、交通、環境、防災面等で機能させていく」というこれまでの説明が成り立ちません。

 さらには、多額の税金を投入し道路をつくり、完成後は維持管理にさらに税金が必要になり、将来世代への負担が懸念されます。

 メリットもデメリットも区民に知らせ、ともに考える区の姿勢が必要です。