自然を破壊する道路計画は見直そう ~氷河期が生きている三宝寺池~

 夏休みの一日、石神井公園の自然の素晴らしさを実感し、大きな道路ができたらどうなるか、シミュレーションして考えてもらおうという企画が開催されました。当日の参加は大人20名、子ども11名の5歳から80歳まで。集合場所のみどり地域集会所では、石神井公園ふるさと文化館の区民学芸員の方から石神井川と三宝寺池の3万年の歴史を振り返るお話、「石神井公園野鳥と自然の会」の方からはスライドを交えて、三宝寺池周辺で観られる動植物の特徴のお話がありました。アゲハチョウやトンボなど何種類も生息していて、なかでも「マルタンヤンマ」は、遠くから見に来る人がいるくらい希少価値があるトンボだそうです。

 集会所から公園までの道のりは照りつける太陽が痛いくらいでしたが、一歩公園に入ると木陰で日差しが遮られ体感温度も確実に下がり、快適な観察会になりました。到着早々数種類のアゲハチョウを観察することができました。

 三宝寺池はかつては豊かな湧き水が湧いていました。その冷たい湧水に守られ、ミツガシワなど冷たい水辺を好む植物が氷河期から生き残っています。ミツガシワは一般的には尾瀬のような寒冷地に生息する植物です。 この豊かなそして希少な自然が残る公園の横に40メートル幅の道路=「外環の2」が通ってしまったら・・・自然破壊は容易に想像できます。いとこ同士で参加していた男子中学生は「想像以上に豊かな自然だった。道路が通ったらこの自然破壊ももちろん心配だが、学校への影響も大きいのではないか」と答えてくれました。偶然にも彼は、やはり道路(都市計画道路135号線)問題で話題になっている大泉二中に通学しています。

 約50年前に計画された都市計画道路。当時の空き地は住宅街になり、社会状況も大きく変わっています。今こそ、想像を豊かにどんなまちに住みたいのか、住民主体のまちづくりを進めていかなければなりません。